穂村弘 (2017). 野良猫を尊敬した日. 講談社.
key words:「いろんな望みは平べったくなってしまっていい」(:110), 「チャイニーズ・ダイス」(:133)
北海道新聞ほかに掲載されたものを集めたエッセイ集.
読んでいて心地よい, 素直な文章が多数収められている.
素直な, とは, たとえば大学の授業において悪気なく脈絡ない質問をする学生が増えてきたことにふれ, 「病院の張り紙のなかに「患者様」という言葉を初めてみたとき、違和感を覚えたが、とうとう「学生様」の時代がやってきたのだ」(:66)と, 思わず言ってしまうような素直さだ.
本のタイトルは同名のエッセイ(:217-220)から.
風邪をひいたときに, でも, 「野良猫はもっと大変だよな」(:218)と思った経験を綴ったものだ.
筆者は「彼らはその日の食べ物すらキープしていない。一瞬一瞬をただ全身で生きている。命の塊なのだ」(:219)と続ける.
短歌同様, 日常を鋭く切り取りながらも
なんだか
はんなりさせられる文章だった.
(ラナンキュラスが綺麗)