3/22/2015

第8回声楽アンサンブルコンテスト全国大会 2015


8回声楽アンサンブルコンテスト全国大会 2015
2015. 03. 22, 10 am start / 福島市音楽堂

(演奏順)6番「Choral Aurora」(福島県)が歌ったのは武満徹の「指の呪文」.
緊張感あふれる演奏で雰囲気があってよかった.

8番「岩手県立不来方高等学校音楽部」は混声・ユニゾンのアカペラからスタート (Guillaume Dufay作曲「Ecclesie militantis).
知るはずもない古代を思わせる響き.
16人がぴったりと溶け合った声のユニゾンの美しいこと (グレゴリオ聖歌「Salue Regina).
素朴で美しく, 優しく力強い, 人間が生み出すartといった印象.
3曲目のOrlandus Lassus作曲「SALVE REGINA」はぞくぞくする演奏.
カウンターテナーがbravi
「かっこう」(Orlando di Lasso作曲「O la, o che bon eccho」)は、ステージと客席に合唱隊が分かれての掛け合いが楽しかった.

9番「清泉女学院中学校音楽部」が奏でたのは なんとも大人っぽい音楽 (鈴木輝昭「AGNUS DEI」ほか).
透き通った声が美しい.
sopの高音も安定感があった.

10番「郡山市立郡山第五中学校合唱部」はソロが素敵 (モーツアルト「Missa brevis in G KV49).

11番「Taipei Male Singers」(台湾)はグループの一体感がある演奏.
ハーモニーの透明感や弱奏部の安定感が秀逸だった.

様々な団体の演奏を聴いていると, ロングトーンに透明感がなくザラザラしていたり, 誰か一人の声が飛んで来たりすると残念だなぁと思う.
透明感は縦や発音のズレがあっても出ないし, 混ざる声を全員が出せることが前提となり難しい.

審査結果が出るまでの間, 今年のフレンドシップコンサートは波多野睦美さんの独唱.
「花の街」や「蘇州夜曲」, 「かんぴょう」, 「星めぐりのうた」(アカペラ), 「落葉松」, 「さんさい踊り」(富山県民謡)など日本語の曲がやさしい声で歌われ, 心地よい.
続いてパーセル曲ブリテン編「音楽が愛の糧なら」, Lascia ch'io pianga」そしてレ・ミゼラブルより「夢やぶれて」が歌われた.
アンコールは「踊り明かそう」(マイフェアレディー).

さて, 国内124団体, 海外3団体が参加した今年の声楽アンサンブルコンテスト.
岸信介さんの講評では, アンサンブル(少人数)にふさわしい選曲が大切なことが指摘された (中・高校生は編成が違うにも関わらず選曲が似通っていたのだという).

続いて発表された審査結果は, 以下のとおりだった.

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5位 Taipei Male Singers
4位 Choral Aurora
3位 郡山市立郡山第五中学校合唱部
2位 福島県立郡山高等学校合唱団
1位 クール シェンヌ

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審査結果は自分の印象とは随分違うものだったが, 審査の結果如何にかかわらず, 今年も存分に楽しめたステージだった.

(写真は20日に会津で観たプロジェクション・マッピング!)

3/08/2015

第18回 響宴


21世紀の吹奏楽 第18 "響宴"
2015.03.08. 2 pm start / 文京シビックホール 大ホール

日本人による作品の紹介・普及を目指してスタートした「響宴」も, 今年で18回目を迎えた.

コンサートは下田和輝のオシャレなファンファーレ「fanfare for wind orchestra "In Triumph" 」でスタートした (演奏は佐藤正人×川越奏和奏友会吹奏楽団).
中間部の木管コラールもオシャレだった.

続く演奏団体は浅田亨×浜松公響吹奏楽団.
サウンドが明るく, 演奏も上手い
特に金管がbravi
小編成なのにそう聴こえさせない響きが印象的だった保科洋「Oneiros」がよかった.
また, 伊佐治直「アストロラーブ製作所」の繰り返されるパルスが面白かった.

休憩を挟んで, 演奏は犬塚禎浩×柏市立酒井根中学校吹奏楽部 (司会者いわく, 中学一年生は21世紀生まれ!).
松下倫士「Lament」の幻想的な響き(歌唱つき)と川邊一彦「ソナチネ」の重厚な響きは, 中学生とは思えない演奏.
32人で演奏された長生淳「季のまど」は爽やかな曲だった.

続いて天野正道×グラール ウインド オーケストラ.
清水大輔の「神々の系図:神と人間が共存する土地へ」が面白かった (演奏がもっとスマートだと尚よかったか…).

休憩を挟んで最後は小澤俊朗×神奈川大学吹奏楽部の演奏.
, だったが, 4団体目が終わった時点で既に1645分….
新幹線の時間の都合で, 泣く泣く退席した (堀田庸元「Respiration」や井澗昌樹「ゆりのねゆらり」が聴きたかった…).

それにしてもボリュームたっぷりの内容.
お祭りのような演奏会だった

(写真はリニューアル(?)した銀座・ニューキャッスルの辛来飯, つん蒲 (蒲田と川崎の間の量). 目玉焼きがいい)

ベスト・オブ・ザ・ベスト



ベスト・オブ・ザ・ベスト
2015.01.31 - 05.17 / ブリジストン美術館

石橋財団の2500点におよぶコレクションの中から, 160点が紹介されているベスト・セレクション.

まずは彫刻の展示からスタート.
はじめから魅力的な作品が並ぶ.
続く展示室では63年におよぶブリジストン美術館の歴史が紹介される.
「パリ里帰り展」に象徴される, 創業者・石橋正二郎の手腕に改めて驚かされる.

続く展示室からはさまざまな絵画コレクションが鑑賞できる.
まずは印象派の展示室だが, ピサロ, モネ, シスレー…, と印象派がこうも並ぶとそれだけで心地よい.
モネの「黄昏、ヴェネツィア」の湧き上がる夕暮れは, いつ観ても美しかった.
(鑑賞者は, 西洋と日本 (青木繁「天平時代」ほか多数. 藤田嗣治の作品も素敵), それぞれの作品が展示されている部屋を交互に通っていくのだが, なんだかそれが不思議な経験だった)

いろいろな時代のピカソ作品をはじめ, 20世紀美術のさまざまな作品(アンリ・ルソー, ルオー, デュファイ, マティス, モンドリアン, モディリアーニ, ミロ, カンディンスキー, ローランサン, ブラック, レジェ, クレー…)が一堂に会していて, 観ているだけでうっとりしてしまう.
デ・キリコの「吟遊詩人」も展示されていた.

ラストはポロックほかが展示されている戦後美術の展示室.
コレクションは本当に多彩だった. 

さて, ビルの新築工事のため518日より休館するブリジストン美術館.
新しい美術館がどんなふうになるのか, 今から楽しみだ.

(写真は昨夜 行った吉祥寺の立ち飲み屋「ハモニカキッチン」. その前に行った「いせや」はすっかり新しくなっていて別のお店のようでした)

3/07/2015

サロネン×フィルハーモニア管



エサ=ペッカ・サロネン×フィルハーモニア管弦楽団 2015年日本公演
2015.03.07. 2 pm start / 東京芸術劇場コンサートホール

初めて訪れた芸劇で, 初めてのサロネン×フィルハーモニア管.
3階・上手側のバルコニー席で聴いた.

1曲目はシベリウス「トゥオネラの白鳥」 (「レンミンカイネン組曲」op.22より第2).
次第に弦が湧き上がる冒頭部はまさに黄泉の国.
最初から惹きつけられる.
タクトを持たず, 音を紡ぎだすかのように始めたサロネン.
そこに歌われる白鳥の哀歌(イングリッシュホルン)が切ない.
さらに, 移り変わる弦のハーモニーが色彩豊かでbravi
弦は後半(timpが先導して舵取りをするなか, その上で哀歌をうたう場面)も絶品で, 本当に心地よかった.
儚く, 切なく, そして美しい演奏だった.

2曲目はブラームス「ヴァイオリン協奏曲 ニ長調 op.77.
ソリストはヒラリー・ハーン.
力強く開始された第一楽章は, 隅々まで美しい.
ソリストと対話しながら音楽を進めていくサロネン.
彼自身がオケであるかのようにうたう.
第二楽章はobsolo vnが素晴らしかった.
それにしてもヒラリー・ハーンの音の美しいこと!
ミスもなく正確なうえに, (それなのに) 柔らかくあたたかく歌い上げられるヴァイオリン.
弦セクションの美しさに, solo vnが包まれて最高だった.
第三楽章は軽快に, 細部のやりとりまではっきりと聴かせるやり方.
歌い上げる部分とリズミカルな部分のコントラストも明確で, すっきりと心地よい.
ラストは快走し, 力強く終わった.

カーテン・コールに応えて演奏されたヒラリー・ハーンのアンコールは, バッハのパルティータ3.
祈りのアリア.
弱奏部の音色が美しい (吸い込まれるよう…), しっとりした演奏.
完璧な演奏, 安心して流れに身を委ねながら聴いた.

休憩を挟んで, 本日のメインはベートーヴェン「交響曲 3 変ホ長調 op.55.
オリジナル楽器はtimptp.
指揮台に上がるやいなや, 颯爽と振りはじめたサロネン.
軽快で心地よい第一楽章.
音が生き生きとして瑞々しい.
第二楽章はvnの葬送行進曲が切ない.
なんとも哀愁のある音で惹きつけられる.
それに対して, 底抜けに明るい第二主題とのコントラストが見事 (それはまるで一夜の夢のよう…).
第三楽章はオシャレで清潔.
hnのファンファーレも高らかに響いた.
ほぼアタッカで始まった第四楽章は疾走感あふれるスタート.
インターロッケンの音遊びを楽しんでいるような冒頭部の指揮者が印象的だった.
自然な流れのなか, 心地よく伸び縮みし何度も花火が打ち上がりながら音楽は進んでいく.
こんなベートーヴェンは正直 聴いたことがない.
エロイカってこんなにいい曲だったのか, と思ったが, すぐにそれはベートーヴェンの巧妙な仕掛けを緻密に炙り出したサロネンが素晴らしいんだ, と思い直す.
長時間の音楽会だったが, 存分に楽しめた.

アンコールはシベリウス「悲しきワルツ」.
冒頭の弦楽合奏が夢の世界のように美しい (あの厚みはいったい何なのだろうか. めちゃくちゃ気持ちよかった).
自在に伸び縮みするオシャレな演奏.
そこに重なるソリスティックな管楽器も素敵だった.

パンフレットで「私の役目は、「同輩中の首席」として、一緒に仕事をする優秀なプレイヤーたちに、刺激、アイデア、コンセプトを与えることだと感じています。」と述べていたサロネン.
オケとの信頼関係が伺える, 一体感のある演奏だった (サロネンが開発に携わったアプリ「オーケストラ」もとってもcoool).

終演は1630
その後のサイン会の長蛇の列をみても, サロネンの人気を存分に感じた一日だった