3/31/2016

シェル・コレクター


映画「シェル・コレクター」
坪田 義史 監督 / 2016

島でひとり, 俗世から離れた生活を送る男.
彼は目が不自由な, 貝類の学者であった.

孤独を愛し, 貝との生活を送っていた男だったが, ある日 浜辺でひとりの女(画家)を見つける.
その女は手に痺れをもつ病に悩んでいたのだが, 偶然にも, そのしびれをイモガイの毒で治してしまう.
そこから彼の生活は一変する.
噂を聞きつけた人々が次々と男のもとを訪れるようになり, 静かだった島での生活は一瞬にして壊されてしまうのだった….

主人公の男にリリー・フランキー, 画家の女に寺島しのぶ, 噂を聞きつけて男のもとへと戻ってくる息子に池松壮亮など, 役者陣を固めるのは錚々たる顔ぶれ.
劇中に登場する印象的な絵画を担当するのは下條ユリ, 音楽を担当するのはビリー・マーティンだ.

映像がとても美しく, まるで詩を読んでいるような気分になる映画だった.

(写真はお昼にいただいた米沢市・麺や「貴伝」の肉中華. 美味い!)

3/30/2016

東京③

東京3日目, 最終日.

まずは南千住へ.
南口からスカイツリーに向かって10分ほど歩くと「カフェ・バッハ」へ到着.


バッハ・ブレンドとトーストをお願いする.
メニューにはトルコのコーヒーやコーヒーエキスと炭酸の組み合わせなど, 見たことのないものも多く並ぶ.
ストレートの種類も多くて, 見ているだけで楽しい.
お店の人は清潔な仕事ぶりで, カウンターに並んだサーバーにリズムよくお湯を注いでいく.
コーヒーの深い色と, ミルクをスチームする音, パンの焼ける香り….
幸せ….
トーストはサクッ, もちっ.
バターの部分に塩と胡椒を挽いて, かけてみる.
これが美味しい!
コーヒーもとっても清々しい味.
素敵なお店でした.

東京へ戻って, お昼は南インド料理・ダクシンへ.


南インド ミールズランチをオーダー.
初めて食べた「ドーサ」は不思議な味でした….

年度末, 東京駅周辺は人でごった返していました



人ごみをすり抜けながらKITTEを少し散歩して帰路へとつきました. 

3/29/2016

水戸室内管弦楽団 第95回定期演奏会 東京公演


水戸室内管弦楽団 第95回定期演奏会 東京公演
2016.03.29, 7 pm start / サントリーホール大ホール

客席は満席.
予定されていたプログラムに先立って, ティンパニ奏者を悼みモーツアルトのディベルティメント2番(ニ長調, K.136125a)より第二楽章)が献奏される.
やわらかい弦楽合奏の響きが, 一瞬にしてホールの空気を変える.
所々うたいながら指揮をするマエストロ.
弱奏部がことさら美しく印象的だった.
切ない, 淡い記憶のような音楽.
音楽が終わり, ステージ上がゆっくりと暗転し, しばらくしてから静かに小澤は腕を下した.

いったん全員がはけて, チューニングののちプログラム1曲目が始まった.
シベリウス作曲, 劇音楽「クオレマ」作品44より「悲しきワルツ」.
指揮者無し, 雛壇を一段しか使わないオケの編成.

音楽はコントラバスのpizz.からスタート.
妖しく, 陽炎のように動き出した.
時折出てくる明るいワルツの華やかさと, 悲しみのざわめきのような奥深さが交差する.
どちらの性格も豊かさと繊細さの両方で奏でた.
オーケストラの小ささを全く感じさせないのはアンサンブルの力だろう.

続く2曲目は, モーツアルトのクラリネットコンチェルトイ長調 (K.622).
モーツアルトが亡くなる年に書いた最後のコンチェルトだ.
ソリストはリカルド・モラレス.
第一楽章から, ソリストが絶品.
明るくて軽いのに深い音色.
そしてシャルモーの豊かさ!
自由自在にあちらこちらを行ったり来たりする様がホントに見事だった.
続く第二楽章は, 切ない弱奏と たっぷりとした強奏のコントラストで最初から聴かせる演奏.
第三楽章は明るく軽快なロンド.
ここでもClがまるで歌っているかのように自由自在.
どんな速いパッセージも凸凹なく軽やかで心地よい.
オケも反応がとてもよく, 自然に流れて寄り添う感じだった.

20分の休憩後, 本日のメインはベートーヴェンの交響曲第5 (その前に, 天皇・皇后両陛下が客席へ入場!).
マエストロは(譜面台は立てているものの)暗譜, 指揮棒無しのスタイル.
第一楽章, 冒頭動機がエッジの効いた音で力強く奏でられた.  
ひとつひとつの仕組みがよく分かる聴かせ方.
第二主題を呼ぶHnsffp)のように鋭く奏でられる.
アンサンブルの機動力を生かした細かいやりとりが見事に決まって, 思わずにんまりしてしまう.
ベートーヴェンをこんなに新しいと感じるとは….
なんとも不思議な経験だった.
力強く残響を残して第一楽章が終止したのち, 椅子に座って水を飲むマエストロ.
たっぷり間を取って, 第二楽章は格調高くスタートした.
管がまたどれもいい (ホントに名プレーヤー揃い!もちろん弦も).
こんなオケがあっていいのか ().
こんなにも楽しく生命力ある幸せな第二楽章は初めてだった.
再びたっぷり間をとって, 第三楽章がスタート.
強奏と弱奏のコントラストをはっきりさせ, fはことさら堂々と, pは不安げに響かせる.
そしてアタッカで第4楽章へ.
パワー漲る演奏で疾走した.
, あるいは夜明けの音楽.
クライマックス, いったんテンポを戻して再びaccel.を掛け力強くテーマの再現へと突き進む場面に, ベートーヴェンの音楽の神髄(ちょっと大袈裟ですが…)を見た気がした.

水戸室内管は, サウンドが抜群によい.
そして, とてもあたたかく, アットホームなオケだ.
演奏を終えて, オケみんなと握手するマエストロの姿が象徴的だった.

会場は総スタンディングオーべーション.
熱烈なカーテンコール(終わらないんじゃないか…と思った)が計4回続いて,そのたびに全員で引っ込んで, また全員で出て来てくれるオケとマエストロ.
ここでも, マエストロは決して真ん中には立たず, オケが主役だというスタンス.
カーテンコールは15分に及んだ.

終了は2110.
音楽は一期一会なんだということを, 改めて思った時間だった.

佐藤雅晴 東京尾行


佐藤雅晴 東京尾行(ハラドキュメンツ10
2016.01.23 - 05.08 / 原美術館

エントランスの不思議なアニメーション(「バイバイ カモン」)を通って中に入ると, 最初の展示室はほぼ四角い部屋 (Calling ドイツ編」と「Calling 日本編」).
隣り合う二辺にスクリーンが配置され, 日常の一コマ(どちらの画面でも電話(ケータイ, 家の電話, 公衆電話…)が鳴る)が次々と映し出されていく.
提示されるのは, 実写を完璧にトレースしたアニメーションだ.
現実から少し浮いた不思議な世界を創り出す.
人間は登場しないが, いずれも人間がいたその温もり, 残り香のようなものを映し出す.
いったい人間はどこへ消えたのだろうか….

最初の展示室を出た廊下には, いちごのショートケーキ2つが写された作品(「1×11」)が展示されていた.
同じようでいて少し違う2つのケーキ.
ずっと見ていると眩暈を起こしそうだった.

2つめの展示室には12台のモニターテレビが並び, それぞれ異なる風景を映し出している (「東京尾行」).
この展示室で観られるのは, 公園, 国会前, 家の中, 行き交う人々など, 東京の一風景.
その一部分だけをトレースしてアニメーションにした作品が並ぶ.
こちらの方が「Calling」よりも断然不思議だ.
自動ピアノが「月の光」を奏でる異空間で (ピアノの音もまたトレースされたものということ), 「トレース」=「尾行」の違和感・不思議を味わうことができる.
(「尾行」という言葉は, 観るものにまた違う見方をさせるのだろう)

2階では, いわゆる「男の娘」を写したモノクロのポートレート(「ポートレイト 06, 言われなければ男だか女だか分からない), 薔薇の花を写した作品(「バラ」, 造花なのだという. これも言われなければ(言われても)全く気付かない…)が展示される.
真実とは何か?を作家はぐらぐらと揺さぶる.

ギャラリーⅤの奥の小部屋では, モノクロのアニメーション作品(「トイレットペーパー(ナイン・ホール)」)が映されていた (奈良美智の部屋の真正面).
トイレットペーパーを逆さに引きちぎり続ける手が描かれる.
それ以上のことは何も起こらない, 不思議な作品だった.

今回の展示は, NHKの日曜美術館のアートシーンで観て以来, 気になっていた展示.

日曜美術館で, 「実際に自分が撮影した映像を絵に書き起こしていく段階で, その映像を食べている感じなんだ」というようなことを佐藤は言っていた.
そこには自分の意識が逆に働いてないから, 作品を見た人が色々と感じてくれる可能性もある, .
なるほど, そうして作り出された作品を, 私たちはまた私たちのやり方で食べるのだろう.
新感覚の作品たちだった.

※美術館では須田悦弘さんの椿や, 宮島達男さんの「時の連鎖」, 「トレース」とタイトルを付けられたコレクション展も観ることができます

東京②

東京2日目.

まずは狛江へ.


一度お邪魔したかった「堀口珈琲」を訪ねる.


お店を代表するブレンドだというブレンドの7番をお願いする.
深い, そして少し甘い香り.
後ろの作業スペースでは, ふるいで豆を選別している人, 焙煎している人など, スタッフが10人ほど.
みんな明るく楽しそう.
外に見える緑は光を浴びてすっかり春!
いいなぁ.

お昼は立川の「まぜそば かぐら」へ.


香味油まぜそば(海老油)!
大きなどんぶりの中をざっくり混ぜるたびに海老の濃厚な香りが….
もちもちの太麺, キャベツともやしのシャキシャキ, そしてごろっとした角チャーシュー!
立川まで来てよかった(笑)!

品川へと行く途中, 思い立って恵比寿の「猿田彦珈琲」へ.
お洒落なお店.


猿田彦マイルドをテイクアウト.
春にぴったり, 爽やかな味.

ようやく品川について, 原美術館へ.
こちらの詳細は別途.

そして, 遂にサントリーホールへ.
こちらの詳細も別途.


アークヒルズの坂道の桜は57分咲きといったところ.

綺麗でした

3/28/2016

東京①

東京1日目.

お昼にお邪魔した新橋・鳥割烹「末げん」.


 「かま定食」という鶏そぼろの親子丼をいただく.
甘目のタレ(生姜の甘さが素敵)とふわっとした玉子が美味しかったです.

お腹いっぱいになって, 銀座方面へ歩く.
一度お邪魔してみたかった「カフェ・ド・ランブル」へ.


薄暗い素敵なお店.
カウンターで, 苦め・すっきりなものは?と尋ねてみる.
「ブラジル」(サンタアリーナ古木1903年植)のシングルをオーダー.
古い秤で豆をはかって一杯分ずつ挽いたあと, ネルドリップで丁寧に入れてくれる. 
深い, ガツンと来るすっきりさ.
違う珈琲も飲んでみたくて, ブラジル(カルモシモサカ ブルボン)'93も追加オーダー.
こちらは10年以上寝かせたオールドコーヒー.
深く煎ってはないので少し酸味あり (当然だけど, 同じブラジルなのに全然違う).
カウンターには通っぽいお客さんも.
違う種類を続けて3杯(!)飲まれてました.

その後は神保町をぶらぶらお散歩.
「古賀書店」はずっと居ても飽きません.

歩き疲れて, 「神田伯刺西爾」でひとやすみ.


ペルーチャンチャマイヨと自家製レアチーズケーキ.
コーヒーはさっぱりした苦味.
本日何杯目かのコーヒーだけど, 全部違って面白い.

夜ご飯は, カリーライス専門店「エチオピア」へ.


チキンカリー, 辛さは5 (ここは70倍まで選べる!).
チキンがごろっとデカい!そしてカリーはサラサラ(ちょっととろとろ)のスパイシー.
辛さは10倍を頼む人が多かったけど, 5倍で結構辛し (食べ続けてるとうっすら汗が…).

スパイスの味がさまざまして美味しかったです