3/03/2012

津田大介 情報の呼吸法


津田大介 (2012). 情報の呼吸法. 朝日出版社.

key wordstwitter, 情報発信, ideaink

「デジタルやネットワーク技術が発達し、かつてないほど大量の情報に溢れかえっているこの日本において「情報」を活かして何か物事を実現するには、情報のインプット(入力)とアウトプット(出力)のバランスを取ることが重要」である.
これが本書のテーマである, と津田ははじめる (7).

本書は, 津田がこれまで実践してきたことや自身の(SNSを含む)ソーシャルメディア活用法などをもとに, 情報の吸い方と吐き方(=呼吸法)について紹介したものである.

情報はガソリンであるとする津田は, その情報を手に入れてどう動くのか(何を発信するか)が大切だ, と何度も指摘する.
その発信の仕方として本書で注目されるのが, twitterというわけである.

「リアルタイム」に思ったことや行っていることを反射的に書くのがソーシャルメディアの特性であり, だからこそ, 一般論に丸まっていない「生の情報」や考えるきっかけが出て来る可能性がある (73), との指摘が面白かった.
たしかに, 様々な情報が氾濫する混沌とした状況を一方では想像してしまいがちだが, twitterにはそれよりもむしろ, どちらかといえばブレストに近いような活用の仕方が求められるのかもしれない.
そして津田は情報の信憑性とは別の次元にtwitterの価値を置き (あるいは, 津田はtwitterの「予期しない情報がハプニング的に入ってくる」という「誤配力」(48)にも注目し), 活用する.

では, だからみんなtwitterをしよう, …ということではないのだろう.
自分の経験でもあるが, 情報送受信の手段としてSNSが向いている人, blogが向いている人, メルマガが向いている人, あるいは書籍や他のメディアが向いている人….
さまざまであろう.

だから, 津田にとってのtwitterが自分にとっては何であるのか考えることが大切なのだと思う (すぐに「次のtwitter」が現れ, メディア環境はどんどん変わっていくのだろうから).
そして情報を送受信しながら, オフラインで人と人がもっと繋がっていくことが大切である (これも津田が何度も指摘する点である. 一昔前のネットに閉ざされた世界(偏見かもしれないが…)とは随分違う印象を受けた).

スピード感ある津田の行動や人とのつながり方, 情報への接し方の紹介は, まるで何かのドキュメンタリーを観ているようでドキドキする.
twitterは人と人とを結びつける手段.
そしてそれは, 本書の最後に津田が改めていうように, 「行動を起こす人の人間性が情報化され、共有されている」ものだ (164).
「政局」ではなく「政策」を語ることができる新しい政治メディアをつくりたい113-114)という津田の今後も含めて, これからのコミュニケーションがどう変化していくのか, 楽しみなところもある.
(余談だが, ナタリー(津田が立ち上げからかかわっているポップカルチャーのニュースサイト)の音楽のページはとてもいい!)

情報の呼吸法 (アイデアインク)