8/09/2016

諸橋近代美術館 「ハロー、クルック」展



ハロー、クルック:共感する記憶
2016.04.20 - 09.02 / 諸橋近代美術館

イギリスの画家, パメーラ・ジューン・クルック(1945 -)の企画展.
画家のポートレート写真などのほか, 35点の絵画作品が展示されている.
クルックの膨大なコレクションをもつ諸橋近代美術館では, 彼女の個展は今回で4回目になるという.

最初に展示される「レッドドア」(1995)は, 額の凹凸がドアに見立てられている作品.
画はカンヴァスを超えて額の上にも描かれ, 額は見るものと作品との間にある壁・境界ではなく, それらを結び付け繋ぐものへと変わるのだった.

「大都市」(1998)は波型木枠に張ったカンヴァスに描かれる.
まるで人の波が押し寄せてくるよう.
その一方で, 人々の表情はどこか冷めてもいて, まるで時間がふっと止まったようなもしからしたらとても静かな場面なのかも…, とも思わせる不思議な作品だった. 

日本を題材にした作品もいくつか展示されている.
《ジャポニカシリーズ》に描かれた5つの場面(東京・京都)も面白かったが, 東北地方太平洋沖地震の翌年に描かれた「ア ビッガーウェーブ」と「ビックウェーブ」のふたつの作品が印象的だった.
「ア ビッガーウェーブ」では, 着物(帯の部分がコラージュになっている)の女性が開ける窓の向こうで, 大きな波が渦巻く.
大波は殊のほかポップに描かれるが, 着物の女性の後ろ姿はとても静かだ.
窓の向こう側とこちら側との圧倒的な差異が印象的だった.

最後の第5章「自己との対話」で紹介される作品たちも, どこか奇妙で現実離れした不思議なもの.
最近(2015, 2016)の作品のなかで, 力強く立派に描かれる動物の姿が心に残った.

常設展では迫力満点のダリの彫刻作品や絵画も多数展示されている.
裏磐梯の雄大な姿とともにゆっくりと楽しめる空間だった.

(写真は「ヒロのお菓子屋さん」の花豆もんぶらん , 裏磐梯の青沼. 光の具合で水の色が変わって, とっても綺麗でした)