東京交響楽団 第92回新潟定期演奏会
2015.10.18. 5 pm
start / "りゅーとぴあ" コンサートホール
久しぶりの りゅーとぴあ で, 久しぶりの東響.
指揮はクシシュトフ・ウルバンスキ.
3階席中央で聴く
(会場は空席が目立ってちょっと残念).
1曲目はブラームス「悲劇的序曲
作品81」.
颯爽と登場したウルバンスキ.
空中から音を紡ぎだすように大きく振る姿が印象的
(指揮は暗譜).
ゆっくり, しっとりなんだけれどもそんなに重さは感じない…, 新鮮なブラームスだった.
2曲目はモーツアルトのヴァイオリン協奏曲
第5番イ長調K.219「トルコ風」.
ソリストはステファン・ジャッキーヴ.
第一楽章, ソロ冒頭の静けさと, その後の華やかさの対比が見事.
後半のカデンツァの切なさも素敵だった.
続く2mov, 3movも優雅で美しい世界.
なんといっても正確・完璧なソリストが素晴らしかった
(あの軽やかさはモーツアルトだからだったのか? たとえば彼がロマン派を弾くとどうなるのか, 少し気になったり…).
休憩後, 本日のメインはストラヴィンスキーのバレエ組曲「火の鳥」.
ウルバンスキが選んだのは, なんと1945年版.
再び暗譜で振る指揮者 (この曲を暗譜で!).
魔法でもかけているかのように, coolに (冷静に), 華麗に振る指揮者.
頭の中にすべて音が入っているのが分かるような振り方(だから聴く方も音に集中できる)で, コミカルからシリアスまで色彩豊かに作り上げた.
あんなに冷静で整理された, たくさんの仕掛けが聴こえてくるロシアもの….
その繊細さ・鮮やかさに これはラヴェルか…? と一瞬思ってしまった新鮮な響き.
ダブルリードをはじめとする木管楽器も見事だった.
消え入る弱音ののちに拡がる静寂を切り裂いて始まった「凶悪な踊り」の冒頭はなんとも鮮やか.
目の覚めるような響きだった.
前半のcoolさに反し指揮台の上で暴れはじめる指揮者.
その対比がまた見事.
そして, 終曲である「最後の聖歌」が絶品だった.
厚いtuttiサウンドはそれでいてやっぱり繊細.
なんという風景だろう.
前に進む推進力で, 大空に昇っていく火の鳥の後ろ姿を見せた.
(一見coolすぎるように見えるが, 胸の高いところで振る実は)分かりやすい指揮に すらっと長い足 (ステップを踏み, 交差させ, よろけながら…笑).
ウルバンスキファンが増えるわけだ.
終演は18:50.
鳴り止まないカーテンコールが印象的だった. (写真はお昼にお邪魔したパン屋さんのカフェ「…et puis les chaises」. 焼き立てパンが美味しい)