仙台フィルハーモニー管弦楽団 第276回定期演奏会
2013.09.20 /日立システムズホール仙台(仙台市青年文化センター)コンサートホール
渋滞にはまり演奏会の開始には間に合わなかったが…, 今日のプログラムはムソルグスキー・歌劇「ホヴァンシチーナ」より前奏曲 "モスクワ川の夜明け"(5分程度の短い楽曲)からスタート.
指揮は仙フィルミュージック・パートナーの山田和樹だ.
続く2曲目は三善晃「ヴァイオリン協奏曲」.
独奏vn, fl, cl, percの会話. 擦る, 吹く, 叩く.
メディアとしての楽器の本質, マテリアルな部分から訴えられる響きが, こうも心をとらえるのかと新鮮な気持ちになる.
そしてなんといっても, vnの重い響きの豊かで美しいこと.
神谷美穂(仙フィル・コンサートマスター)は激しく鳴らして時に怒り, すっと音を滲ませて時に深く悲しみ, 天と地とを自由に行き来した.
ラスト, ウッドブロックが鞨鼓のように鳴らされ, それとともにvnは天空へと昇って行ったのだった.
休憩を挟んで, 本日のメインはラフマニノフのシンフォニー2番.
第一楽章の冒頭の長い序奏は, 低弦, Vn, 管が対話を重ねる様, 時間をかけて丁寧に音楽が作り上げられていく様が見事. 深い響き, cresc.の流れが心地よい.
第二楽章のスケルツォでは, 軽快な冒頭主題や, 「怒りの日」のフーガに再度対峙させられた中間部のうたが美しい.
たっぷりと間を置いてから始められた第三楽章は, どんどん溢れていく感情の流れが圧倒的だった.
clも美しかったが, それにもましてclを支える弦の響きの厚さ!
指揮者は頭上高く, ゆったりと軌跡を描いた.
今さらラフマで泣かせられるとは思ってもいなかったが (この感動のシステムにやられるのは癪だと思いながらも…), とてもいい演奏だった.
最後, 祝宴の音楽から始まる第四楽章では, 途中第一楽章や第三楽章の主題が(熱をもって)再現され, さながら数々の思い出とともに綴られる卒業式のよう.
一時間に及ぶ大曲であったが, 指揮者もオケも集中力を切らすことなく, 最後まで会場を魅了させたのだった.
何度も続いたカーテンコールとステージ上の団員の笑顔から, 客にも団員にも愛されているのが伝わってきた指揮者.
久しぶりに客席とステージが同じ空気になるのを感じた演奏会だった.