12/05/2011

中田裕二 ECOLE DE ROMANTISME


中田裕二 ECOLE DE ROMANTISME
2011.11.23.released / WPCL-11011

仙台・タワーレコードのインストアライヴに行く.

「最近の日本は高音圧の音楽ばかりだから, もっと重心の低い, あたたかい音楽をつくりたかった」

中田はそう言う.
こんなにも生々しいうたをうたうヴォーカリストだというのに, なんでキザなヤツにならないのか?
答えはその言葉にあったのかもしれない, , そう思った.

「チャゲアスがすごい好き」だったという椿屋・中田(「音楽と人」に掲載されたものをまとめたインタビュー集(金光裕史 (2011). 群青 椿屋四重奏. 音楽と人:41)より)が, 「自分を架空の誰かに置き換えて書いてた言葉を、自分の言葉にしてみた」というのは「CARNIVAL (同:141), 「他人を気にすることをやめて素直になった」というのは「孤独のカンパネラを鳴らせ」(同:181)だった.
椿屋としての最後の楽曲となった「マテリアル」では, その楽曲のテンポの速さを前に進む力として見せた.
ただゆったりとしたバラードにはしないところが中田らしいなぁと思ったのを覚えている.

中田が歌ううたには, それがどんなにエッジが効いた音楽であったとしても, じんわりとしたあたたかさがある.

椿屋四重奏のときもソロ活動をしていた中田だが (CARNIVAL」のDVDには「これはいつか椿屋の曲になるのか, ならないのかよく分かんないですけどやってみます」と「リバースのカード」をうたう中田が収録されている), 今回のソロアルバムはそのあたたかさがさらにじんわりと拡がったような印象だ.

1曲目の「sunday monday」の普段着な感じから思わずにんまりしてしまうが, 5曲目の「バルコニー」で中田はこううたう.

かなわない心は
どこへたどり着くのだろう
羽のように空の彼方へ
飛び立っていずれ
見えなくなるんだね

ジャンルの正統性を叫んだり, ロックはこうだとかいっている場合ではない (以前, 中田もblogでそんなことをいっていた).
椿屋よりももっと身近になったあたたかいうたが, そこにはある.
 
ecole de romantisme
CARNIVAL(DVD付き限定盤)
孤独のカンパネラを鳴らせ
マテリアル(初回限定盤)