古田織部の実像:『古田家譜』(豊後古田家伝来)初公開
2016.09.17 - 2017.01.15 / 古田織部美術館(京都市北区)
本展では, 利休のあとに茶の湯を改革・発展させたといわれている古田織部と古田家との関係について
(第一部:「古田家譜」と豊後古田家), そして彼の子どもたちについて
(第二部:織部の最期と子どもたち), そしていわゆる「へうげもの」以外の彼の好み物について
(第三部:古田織部の実像) 鑑賞することができる.
意外だったのは第三部の展示.
織部といえば織部焼や唐津焼のイメージが強いが, 彼がそれらを使いはじめるのは60歳を過ぎてからのことなのだという.
本展では, 彼がそれまでに使用していたという高麗物や瀬戸・信楽・備前焼を観ることができる.
織部焼の奇抜なイメージとはまた違う, 信楽茶碗や備前筒花入の素朴な彼の好みを感じることができるのだった.
しかしやはり, その隣に並んだ黒織部沓茶碗の存在感は圧倒的だ
(60歳を過ぎてこうなった彼はすごい!).
その躍動感と力強さたるや, 茶事でそれを使用したときの彼の得意げな表情が目に浮かぶようだった.
黒織部に比べると少し落ち着いた感じがする最晩年の唐津焼とあわせて, 彼の好みの変遷をたどることができる.
1階には茶碗を多数扱っているお店もあって, 観ていて飽きない.
ゆっくりと楽しむことができる.