5/25/2012

川内倫子展


川内倫子展:照度 あめつち 影を見る
2012.05.12 - 07.16 / 東京都写真美術館

写美へ, 川内倫子展を観に行く.

今日は写真家本人と内藤礼さんとの対談もあった.
なんともまったりとして愉快なトークセッションだった.

写真展は, 正方形の画面が印象的な《Illuminance》(照度)の作品群から始まる.
キラキラと切り取られた色とりどりの風景が印象的.
(ただ, 切り取られた四角い日常(からの新発見)がどことなく誘導的過ぎる気もしてしまって, なんだかちょっと欲張りにも感じられた部分もあった…)

今回の展示では映像作品も上映されていた (映像に関しては, 対談でフロアからの質問に答えて, それは「(釣りに例えると)リールを巻いている感じ」なんだと語っていた).
同じ映像がタイミングをズラしながら左右に投影されるのだが, 「映像は写真よりも生のイメージに近い」と本人がいっていたとおり, 2つの場面は偶然の出会いを果たすことで互いにより生き生きとなるようだった.

それに対して, 写真という「静」の不思議.
連続した時間から一部をカシャリと切り取られたその場面は, 半分その脈絡を変化させられて, 私たちの前にまた新しい出来事として提示される.
その仕事をする写真家の術.
改めてその観察眼はすごいと思う.

Illuminance》のほか, 新作である《あめつち》でも映像作品が展示された.
《あめつち》は阿蘇の野焼きなどが収められた大型写真のシリーズである.
Illuminance》とはまた違い, 非日常の光景が非日常性を纏ったまま壮大に捉えられる作品たち.
野生の光景, 長い時間続いている地球の時間が, そこでは提示されているようだった.

同じ展示室で上映されていた《影を見る》は, 渡り鳥の群舞を撮影した映像作品.
《あめつち》とはまた違う地球の姿を淡々と捉える.
振り返れば, そこには静かに燃えて行く《あめつち》の映像.
燃えて行く山と, 海の上を悠々と舞う鳥の群れ.
写真家が観ている地球は壮大だ.