瀧本哲史 (2011). 武器としての決断思考. 星海社.
key words:ディベート, 決断思考
「客観的に決断するための思考法」(:16)であるディベートをもとにした決断思考を, 「武器として」身に付けられるようにまとめたのが本書だという.
「武器」に瀧本が拘る理由は, それが「使ってなんぼ」(:30)だからである. なるほど, 本書では実際のディベート事例をもとにしたその使い方がわかりやすく解説されている.
ディベート思考の根本にあるのは, 「基本的に正しいことはなんだかよくわからないから, 議論を通して「いまの最善解」を考えて行こうよ」(:46)というものである.
だから, 瀧本は議論においては絶対に正しい意見を言わなければならないという思いこみが強い日本人は, まずはこのスタンスを確認しなければならない, とする.
そして本書は, 論題の設定の仕方(=「○○すべきか否か」, と結論が出るものにすること)やメリット・デメリットの3条件の必要性 (=それぞれ内因性・重要性・解決性/発生過程・深刻性・固有性), 反論の仕方(=メリット・デメリットの3条件に対して行うこと)などを分かりやすく説明していく.
さらに, ①主張に根拠がある, ②根拠が反論にさらされている, ③根拠が反論に耐えた, の3条件を兼ね揃えている「正しい主張」を議論において展開していくことが重要だとする
(:158).
そんなにページは多くないが, 問題集として解き進めるにはボリュームたっぷりのものである.
ディベートの方法論としての内容はとても分かりやすい. また, 「なぜ「学ぶ」必要があるのか?」と題した本論前のガイダンスも印象的だった.
変化に対応しながら, そのときどきにしっかりと自分で考え決断していくこと.
そのためにも, 学び, 考え, 決断し…, その積み重ねが大切だ.