6/29/2013

HIFANA FRESH PUSH BREAKIN'


HIFANA FRESH PUSH BREAKIN'
2003.11.19 / MTCD-1024

3曲目「GOFANKE:ごふぁんけ feat. Leyona」はテキスト付きの楽曲.
4曲目「GAKULANG:学ラン」は, ガムランのもつbreakする感覚がHIFANAの音楽とマッチして面白い.
5曲目「OTO-MUTSU-SAN:音ムツさん」は ,中盤ヨーデルをきっかけに音楽が変わるのが楽しい.
仕掛けがたくさんあって, なんとも楽しいミックスだ.
7曲目「MONDEW feat. PROFESSOR CHINNEN」は商店街で耳にする掛け声を何度もサンプリングした音楽 (その音楽の作者は誰か…, 増田聡「音楽未来形」をちょっと思ってみたり…).
11曲目「UCHI-NAN-CHAMPROO:ウチナンチャンプリー feat. 寿」は沖縄音楽をサンプリング.
ジャンルも民族も自由自在だ.
ラストの14曲目「ASALATO.....」は, 波の音をBGMに淡々と続く(10分弱)アサラトとタップ(?)のセッションが心地よい.

このアーティスト, いったい何者…?と驚きながら聴いていたのだが, 付属のDVDを観て更に驚いた.
様々なリズムマシーンとパーカッションを自在に操る二人.
PVやライヴ映像, そしてアサラトのセッションが収められている.

とても楽しい音楽だ.

(写真は天童市「chez bon」)

FRESH PUSH BREAKIN’
音楽未来形―デジタル時代の音楽文化のゆくえ

6/16/2013

早川泰子・山田穣 DUO


早川泰子・山田穣 DUO
2013.06.16 / 川西町・ライブスペースJam

久しぶりに聴いた穣さんのサックス.
甘く優しく, あるいはとびきり無骨に吹き込まれる音が, とても人間らしくあたたかいと思う.
ピアノの早川泰子との相性もばっちりだった.

1stセットは「sweet love of mine」や「Just Friend」など.
Just Friend」は本当に切なく, 哀愁たっぷり.
そして2ndセットは「Fly me to the moon」やニューアルバムから「old charter」(切ないボッサ)など.

時間もたっぷりと, ゆったり演奏を楽しめたライヴだった

Old Charter

6/13/2013

Chick Corea / Stanley Clarke Duet


Chick Corea / Stanley Clarke Duet
2013.06.13 / 山形テルサ

1stステージは「いつか王子様が」などのスタンダードや, 客席とのコール&レスポンスを含んだ演奏.
音楽が鳴り始めた途端, 会場の空気がガラっと変わった.

20分のブレイクを経て, 2ndステージはバッハのフルートソナタから.
bassのソロステージでは, あの巨大なコントラバスがフラメンコギターのように自在に掻き鳴らされた.
続くピアノのソロステージでは, 子どもの気持ちで作ったというchildren songから, no.1, 2, 3, 9, 10が演奏された.
左手のドローンがかわいらしい.
その後は即席の客席合唱団(「a」でハーモニー)とのセッションもあって (チックが指揮), 会場は終始アットホームな雰囲気に包まれていた.
2ndステージラストはRTF1stアルバムから「sometime ago / la fiesta」!

アンコールは待ってましたの「スペイン」.
アランフェス協奏曲からのモチーフが心地よい.
最後は昨日誕生日だったチックを祝福して客席から「happy birthday to you」が湧き上がり, 2120, 終演となった.

なんともお洒落なライヴだった

6/08/2013

Chim↑Pom 芸術実行犯


ChimPom (2012). 芸術実行犯. 朝日出版社.

key words:想像力, リアリティ, アーティストとは, アートとは

「自他ともに認める「アーティスト集団」」(:12)であるChimPom(チン↑ポム)(卯城竜太・エリイ・林靖高・岡田将孝・水野俊記・稲岡求の6, 2005年結成)の著作.

1章「アートは自由な遊び場だ」では, 《スーパーラット》以降「社会的な方向性が強」まった(:30)というChimPomが「お騒がせ集団と評され」(:12)ながらも「様々な方法で社会に分け入って」(:35)いった過程が語られる.
2008年の作品《ヒロシマの空をピカッとさせる》(:47-)にかかわる一連の活動や, LEVEL7 feat.『明日の神話』》をめぐる活動から見えてくる彼ら・彼女らのスタンスは, 「アーティストは「名乗る」よりも「やる」ことの方が大事であって」(79), 「アートは何をしたのか?」「自分はどう生きたのか?」(:71)について答えるものだ, という姿勢だ.
その点において, ChimPomの作品には彼ら・彼女らのいう「不変性」(:77)のような一本通った筋が存在する共通点がある.

2章「アートで世界はひっくりかえる」では, ChimPomと同じく, たとえば「単身その地域に乗り込んでいって、住民たちとリアルな対話」をしながら(:112)作品を作り上げるようなアーティストら(バンクシー, ヴォイナ, JR, ジェラティン, 「アドバスターズ」のカレ・ラースン, ゼウス, レディー・ガガ, レミ・ガイヤール, ダブル・フライ・アートセンター (中国にもこんなアーティスト集団がいるとは…), DOMMUNE」の宇川直宏など, その活動を読んでいるだけでドキドキ・にんまりしてしまうようなアーティストら)が紹介される.
これらのアーティストに共通するのは, 「アートを目的よりも方法としてとらえていること」(:144)だとChimPomは指摘する.
そして, アートを「遊び場」にしアートを「使う」アーティストらが見せているのは, 単なる物質ではなく, 「絵なら絵を, コンセプトならコンセプトを通して」「「心」や「志」」(:148)なのだとするのだった.

最後の章である第3章「アートが新しい自由をつくる」では, 以上をふまえ「アーティストは「新しい自由」の発明者」(:165-)なのだとまとめられる.
そして, 自分たちの活動は「見ることができない、見ることをしなかったもの」を「想像」し, 社会の現実を捉え身体で体現することで「リアリティ」を求めてきたものである (174-176), まとめられるのだった.

ChimPomの作品を観て引き起こされる反応は人それぞれ, さまざまであろう.
わたしは水戸芸で観た作品には強烈な不快感を覚えたが…, 憎らしくも彼ら・彼女らの作品は…, やはり気になるのだ ().
本書を読んで, その理由が少しわかったような気がした.

芸術実行犯 (ideaink 〈アイデアインク〉)

5/29/2013

大橋トリオ "plugged" LIVE TOUR 2013


大橋トリオ "plugged" LIVE TOUR 2013
2013.05.29 / 新潟LOTS

居心地のいいジャズとノスタルジーが絶妙に混ざり合った音楽を届け続けている大橋トリオ.
今回のテーマはズバリ "ロック" だという.
そんなロックなライヴは, 彼がそれをやるとこうなるのかという意外さと, あぁやっぱりいいなぁという安心感とが同居した とても心地よい時間だった.

この日は「CLAMCHOWDER」や「GRAVITY(♯13)」など (PRETAPORTER), 懐かしい曲も数多く歌ってくれた.
前回に引き続きサポートで入っている伊澤一葉のピアノは相変わらずcool.
今回加わった田中拡邦(MAMALAID RAG)のギターとうたも大橋と相性抜群だった.

ライヴでは, 最後にうたわれた「サクラ」(plugged)が印象的だった.
切ない春のうただ.

アンコールは「Bing Bang(L, R), 「僕らのこの声が君に届くかい」(plugged), 「生まれた日」(「NEWOLD」)の3
Bing Bang」はいつ聴いても楽しい曲.
ピアノソロでうたわれた「生まれた日」は透きとおって, 聴き手の心の中にす~っと入っていった.

アンコールだけで45分の盛りだくさんな内容 (ライヴ終了は2145分!).
心地よい音楽だった.

(写真は古町のbar「町田」でいただいたカクテル「ガーネット」. ウォッカ, ジン, コアントロー, カシス, レモン)

plugged (ALBUM+DVD)
PRETAPORTER
L
R
NEWOLD

5/25/2013

中田裕二 SONG COMPOSITE 2013


yujinakada presents "SONG COMPOSITE 2013"
2013.05.26 / 郡山・Hip Shot Japan

「津軽海峡冬景色」から始まった, 3回目となるコンポジ.
椅子が並べられた会場は満席, sold out.
2年ぶりとなるシリーズだが, 今回はキーボード(YANCY)だけでなく, パーカッション(朝倉真司)も加わった3人編成で行われた.

「カラオケをやりたいから」, 「うたいたいうたをうたってみんなに褒められたい」からコンポジを始めたという中田裕二.
「リバースのカード」など, お馴染みのオリジナルも交えながら, voiceの「24時間の神話」, ニール・セダカの「ソリティア」など, 懐かしい曲が続く.
その後も, 日本ではまだ無名だというLucy Schwartz(米)の「You Are You Are」や, 「椿屋でやりたかった和心を全部やられた」と本人がいう さだまさしの「まほろば」, 「不倫を明るくうたった怖いうた」だという竹内まりやの「純愛ラプソディ」, さらには松任谷由美の「Hello, my friends」, オリジナル・ラヴの「朝日のあたる道」, 高山厳の「心凍らせて」(!)など, 様々な "歌謡曲" が少しハスキーな声で歌われた.
パーカッション(カフォン, ジャンベ, ボンゴなど)との相性がとてもよく, 中盤にスウィング・バラードでうたわれた「バルコニー」(1st)は秀逸だった.

文庫本のように立派なツアーパンフレット「歌謡礼賛」で, 「歌謡力というのは浪漫力と言い換えられるのかもしれません」(:81)という中田裕二.
そんなロマンたっぷりなうたが, そしてうたうことが好きだということが, 文章からもひしひしと伝わってくる.

1回目のアンコール(「ひかりのまち」, 「シンデレラ」(椿屋), DANCE IN FLAMES」のオリジナル3曲)に続き, 鳴り止まないカーテンコールに応えて2回目のアンコールでは「次の(3rd)アルバムに入らないであろう曲だ」という うた(ボッサ・バラード)をうたってくれた.
「人はみな変わるからと突き放したあなたなは, どうして変わらぬ姿で僕の前に現れるの」…, という切ないうた.
2時間強の歌謡曲ライヴの最後, じんわりと心に残るうただった. 

MY LITTLE IMPERIAL
ecole de romantisme
ひかりのまち

5/12/2013

愛してる、愛してない


映画「愛してる、愛してない」
監督/脚本 イ・ユンギ(2011年)

映画は, 2人の男女を映した長い車の中の長い会話シーンからはじまる.
普通の会話が, ノーカット・定点カメラの撮影で続くので, 見ている側はまるで2人芝居の舞台を観ているような, すぐそこに役者がいるような感覚にとらわれてしまう.
しばらく世間話が続いたあと, 女は別れ話を切り出すのだった.
それでも, 2人の会話はとても静かだ.

場面が変わって, カメラは家を出る準備を進めている女と男, 2人の家を映す.
降り続く雨をバックに繰り広げられるのは, やはり静かな会話, 明日も続きそうな生活が感じられる会話だ.
出ていくという女を相手に, 男は変わらずに静かだ.

そんな優しい男についに我慢できなくなり, ようやく核心を切り出す女.
「どうして私を怒らないの?」
それに対して男は,
「怒ったとしても何も変わらないだろ? きっと僕に問題があったはずだし」
とこたえるのだった.
どんなに女が理不尽であっても, やはり男は静かなままだ.

カメラはひたすらに2人の会話を映し出していく.
2人以外の登場人物は, 家に迷い込んできた猫1匹と, その猫を探しに来た隣の家の夫婦2人だけだ.
その他, 言葉を発するのは, 女の母親と女の浮気相手 (男はそれすらも冷静に取り次ぐ), 予約したレストランからの確認の電話, そして大雨のニュースを伝えるTVキャスターの声のみ, である.
それらも全て, 降り続く雨をバックに.

最初, 男は元に戻りたい, 元どおりに戻れる, 大丈夫, と落ち着いているのだと思って観ていた.
そこには観ている自分の期待もあったと思う.
しかし, 突然迎えられたエンディング(玉ねぎが目に染みたことを理由に涙する男)に, 違う, 男はもう戻れないと知っていたのだ, と気が付く.
流れるエンドロールを目に, ひとり取り残されたような気分になった.

怒って冷静を失ってしまっては, 自分を取り戻せなくなってしまうのではないか….
最後まで寡黙な男にじれったく少し苛立ちながらも, 最後には男の中にある強さと, そんな思いを感じた一本.
淡々と進みながらもぐっと深いところまで潜っていく…, こ
んな映画ははじめてである.

本作は, ノーギャラで自ら出演を希望した俳優とスタッフによって, 20日間ではつくりあげられた作品だという (映画パンフレットより).
緊張感あふれるやり方で, それでも自然に, 2人の間にある(あった)5年という時間までをも映し出した, 小説のような映画だった.