磯崎憲一郎 (2013). 往古来今. 文芸春秋.
key words:オオウミガラス, 力士
タイトルどおり時間の流れを行ったり来たりする, どこかミニシアター系の映画のような物語が5つ収められた短編集 (淡々とした情景描写や説明(のようなもの)の蓄積がそう思わせるのか…).
時間や空間を飛躍しても, それがあまりに自然なので, 読んでいるときは違和感がない.
しかし, ページを読み進めていくと, 宙に浮いている感じが少しずつ積もっていく.
綴られる文章も独特だ.
句点が来るべきところが読点で次々と繫げられていくので, 息つく暇もなく, 読み手にはなんともいえない切迫感が与えられるのだった.
「過去の話」と「見張りの男」, そして「あとがき」が面白い.
あとがきで著者はこう書く.
「ビートルズで言うところの『ビートルズ・フォー・セール』や『ラバー・ソウル』に位置するような作品を、自分は書く時期に来ているように思えてならなかった。じっさいにはこの連作を書いている最中はただ、段差や転調を作者の意図として書かずにいかに前に進めるか、どこまで小説に忠実でいられるか、だけを考えていたように思う」(:189)
誰か違う人の日常を代わりに味わったような物語だった.
(米沢市・心那やさんでいただいた「山形ちば吉そば膳」. 米沢市南原の農家さん(ちばさん)が作っているお蕎麦で, 自然栽培, 無肥料・無農薬で育てられたお蕎麦なんだそうです. 美味しくてぺろりといただきました. 揚げ出し豆腐も, 蕎麦湯も美味しかったです. そして…, 今度の日曜日に迫った「THIS IS US 36歳、これから」(海外ドラマ)の最終回が気になっています(笑)…)