1/29/2017

山形交響楽団ブラスパルコンサート


東北電力Presents 山形交響楽団ブラスパルコンサート
2017.01.29, 13 pm start / 天童市市民文化会館

今年で2回目になるという山響ブラスパルコンサート (前回はテルサ・アプローズでの開催).
指揮は, 昨年 出羽三山・日本遺産コンサートでも振ったという永峰大輔.

専務理事・西濱さんの司会でコンサートはスタート.
1部・オーケストラステージの1曲目は久石譲「東北電力企業CMテーマ曲」.
爽やかなサウンドが心地よかった.
続いてビゼー「アルルの女」第2組曲より「間奏曲」と「メヌエット」.
アルトサックスは特別ゲストの上野耕平.
「間奏曲」で安心感のあるしっとり落ち着いたソロを聴かせてくれた.
1部最後の曲目はヴェルディの歌劇「運命の力」序曲.
力強く, カチッとした演奏で, クラリネットのソロも素晴らしかった.

休憩を挟んで第2部は, 吹奏楽共演ステージ.
25校・360人の中高生が, 曲ごとに分かれステージに乗った (昨日は山響メンバーによる指導・リハがあった).
演奏曲はJ.A.バーンズ「アルヴァマー序曲」, 和泉宏隆(真島俊夫編)「宝島」, R.ワーグナー「エルザの大聖堂への行列」, J.P.スーザ「星条旗よ永遠なれ」の4.
細やかな機動性はなくなるものの, たっぷりの音圧と, なによりも楽しそうなオーラがたくさん漂っているのがいい.
客席も巻き込んで, 大変華やかな演奏だった.

演奏終了後, ステージ上では閉会のセレモニーが開催された.
中高生にとっても貴重な時間となったことだろう.
全ての終了は17.
天気にも恵まれ, 爽やかで楽しい演奏会となった.

※天童市「菓子's kitchen叔」の いちごロール. う~ん, いくらでも食べられます(笑)!そして, BRUTUSの柴犬まる 秋田県わさお に首ったけ(↓)



1/28/2017

高尾長良 肉骨茶


高尾長良 (2013). 肉骨茶. 新潮社.

key words:肉骨茶,

わたし(たち)が小説というものを読む際に, いかに説明を求めていたのか….
そんなことを思い知らされた一冊だった.
ここに書かれているのは, 「描写」であり「説明」ではない.
読み手は, なんだかわからない焦燥感と切迫感に駆られながら, 映画のように次々切り替わっていく画面を観せられていくのだった.

主人公は十七歳、一六〇cmの赤猪子 (3).
体重は「三五kgでこれは標準体重の六二%だった」(:同).
母親と旅行に参加している彼女は, シンガポールからマレーシアへの乗り換えで, 「赤猪子の友人で赤猪子の私立高校への元留学生だったゾーイー」(:9)と合流し, ツアーから(母親から)抜け出す計画を立てていた.
物語は, そうしてゾーイーと一緒に訪れた彼女の別荘での出来事を描く.
登場人物はこの二人のほかに, ゾーイーの家の運転手アブドゥルと, 彼女の幼馴染である鉱一だ.

拒食症である赤猪子は, 「一昨日の機内食を半分も食べてしまっている」(:41)ことを気にしながら, (彼女・彼らの目があるなか) どうやってそれを解消すべきか, 滑稽なほど さかんに考える.
描かれるのは赤猪子の食べ物へ対する憎悪だ.

このまま赤猪子の食べものに対する憎悪や嫌悪が描き続けられるのかと思っていると, 最後に驚くべき結末が待ち構えている.
物語はラスト, 紘一と仲良くしている赤猪子を目撃し豹変するゾーイーの姿を描く.
「拒食症のくせして。お前のためにどれだけやってあげたと思ってるの?食べたら許してあげる、肉骨茶を全部食べたら」(:114)と, ゾーイーは赤猪子の口に無理やり肉骨茶を押し込むのだった.
その壮絶な場面においてもなお, 「無理な体勢の上下運動に赤猪子の心臓は激しく痛み始めた。だがこれもカロリー消費になる、と考えて赤猪子は安堵した。」(:115)と思考を巡らせる赤猪子には, 滑稽さを通り越して恐怖を覚えた.

最後に残る息切れのような感覚が, (自分のことでありながら) なんとも印象的だった.

(天童からの帰り道, 友人宅へお土産に天童市・ハヤシ菓子店のシューロールを持っていったら, 替わりに千葉のイチゴをたくさんいただきました! 嬉しい~)

※こちらは宮崎県高鍋町から届いた「たまたま」↓


1/21/2017

小川洋子 夜明けの縁をさ迷う人々


小川洋子 (2007). 夜明けの縁をさ迷う人々. 角川書店.

key words:ビロードのソファー, 関節カスタネット, 喫茶室ルーク, 作家M, サンバカツギ

野生時代の20067月号から20073月号までに掲載された短編を収めた一冊.
どの物語にも, 小川が描く不思議な世界観が存分に詰まっている.

「三塁側ファールグランドで、いつも逆立ちの練習をしていた曲芸師」(:7)が登場する「曲芸と野球」, 次々と届く受賞祝の品々で埋め尽くされていく部屋で最後に明かされるD子さんの秘密が恐ろしい「教授宅の留守番」, 中華料理店のエレベーターの中で生まれ(:53)エレベーターの中で生きたE.B.のちょっと切ない話「イービーのかなわぬ望み」, 普通の不動産屋とは逆に「物件が求める住人を探す」(:76)不思議な不動産屋の話「お探しの物件」, その涙をすり込むと「どんな楽器でもとたんに音色がよくなる」(:97)不思議な涙の持ち主の(まさに)献身的な愛を描く「涙売り」, 自分の裏側に生きているという(:129)老人との奇跡的な出会いを描く「パラソルチョコレート」, 謎だらけの女ラ・ヴェール嬢と指圧師との交流を描く「ラ・ヴェール嬢」, F銀山の山奥にある不思議な狩猟小屋(:165)に集う奇妙な三人を描く「銀山の狩猟小屋」, そして, 不思議な百三歳の元英語教師(:206)が印象的な「再試合」, 9つの話が収められている.

特に「イービーのかなわぬ望み」と「涙売り」, 「パラソルチョコレート」の3つが好きだった.
読んでいて独特の浮遊感と, ちょっぴりの切なさを味わえる.

(写真は山形市「SOUP Curry spice Picca」の「サックサクジューシー!揚げチキンのスープカレー」(いい名前です(笑)!). 皮がパリパリの鶏肉とゴロッと甘いたくさんの野菜がとっても美味しかったです)

※リンクは文庫本です↓

1/15/2017

村の教会:シベリウス ピアノ名曲集

 

舘野泉 村の教会:シベリウス ピアノ名曲集
2010.10.20 (1979) / TOCE-91104

これまでほとんど聴いてこなかったシベリウスのピアノ.
アレンジをするため, 今頃になって買い求めて聴いてみる.

小品が22曲収められているが, どの曲も, 空高くどこまでも拡がる壮大さと, 耳許でやさしく囁くような繊細さが同居している.
舘野さんのピアノはダイナミックに, そして柔らかく丁寧に, その音楽を弾くのだった (録音は1978).
シンフォニーのシベリウスとはまた違う, 自分の部屋にいるときのような作曲家の表情を見ることができる.

全音から出ているピアノの楽譜(シベリウスの中期の透明な作品がいくつか収められている)も併せて買って弾いてみたのだが, たしかに(舘野さんの解説にあるとおり)「技巧的には可成りやさしいにもかかわらず, 音楽的には俗にいうと "さまにならない" 非常に演奏しにくいもの」(全音楽譜出版社 (1976). シベリウスピアノアルバム:まえがき)が多い.
だからこそ, ピアニストの想像力と創造力が問われるのだろう.

冬にぴったりの音楽だ.

(上の写真は酒田市・オズベーカリーのトマトとベーコンのピザパン. 焼き立てで美味しかったです!)
(下の写真は米沢市・鷹山堂で買った「米織小紋」の信玄袋. 使い勝手がとてもいいです)


1/14/2017

henning schmiedt walzer


henning schmiedt walzer
2015.10.21 / FLAU51

18曲入り, ピアノで綴られた詩集.
一曲一曲, ページを捲るたびに違う情景が沸き上がってくる.

どこまでも自由に拡がっていくピアノの音.
翼を持ったピアニストが奏でる音は透明でやさしい.

こんなワルツがあるのなら, 雪の日も(ちょっとだけなら)いいなと思うのです.
白く染まった街を見ながら (今日の寒さはなんでしょうか…).

(新庄市「梅屋」さんのモツらあめん. 昔ながらの少ししょっぱめの醤油ラーメンに, やや縮れた麺, そしてたっぷりのモツ!はじめていただきました. お店にあった「季刊 にゃー(創刊号)」で とりもつラーメンについて勉強しつつ…)

1/12/2017

石若駿 SONGBOOK


石若駿 SONGBOOK
YS00001 / 2016.12.14

同じくこの間ラジオ(音楽ライター・松永良平さんのチョイス)で聴いた石若駿の音楽.
1曲目の「Asa」(feat. 角銅真実)から惹きつけられる.
優しいうた声(角銅)とピアノ, ドラム(いずれも石若)が心地よい.
2曲目はヴォコーダーのロボット・ヴォイスが印象的な「Christmas Song(feat. 小西遼 & 小田朋美).
続く3曲目は, 再び角銅のうた声でそっと届けられる「10℃」.
石若のドラム(キックのリズムが独特)も印象的な一曲だ.
4曲目は不思議な歌詞が耳に残る「ジョゼ」 (feat. 青羊 & 織原良次).
そして5曲目は「The Voice(feat. Sara Rector).
優しい音楽がアルバムの最後に相応しい.

それにしても, 作曲もピアノもドラムもこなす石若の多才さに驚かされる.
そしてまだ20代前半だというその若さに, さらに驚かされる.

外では雪が降り積もっていても(!)心地よく漂うことができる一枚.

(酒田市「プティポアン」の おから茶を飲みながら. 雪はいつまで降り続くのでしょうか…)