レ・ヴァン・フランセ 公演
2016.10.25, 7 pm
start / 山形テルサホール
プログラムはアンドレ・ジョリヴェ「セレナード:オーボエ主題を伴う木管五重奏のための」からスタート
(舞台上の配置は下手からFl (パユの楽譜はiPad!), Cl, Bn (バソン), Hn, Ob).
低音域のそれぞれ太くあたたかい音に, 第一楽章からから魅了される.
第二楽章は各楽器の音色を存分に楽しめた
(当初の予定から変更しエルサンではなくこの曲をセットリストの最初にもってきたのはそのためだったか…).
その多彩さに改めて驚く.
第三楽章は一転してコミカルな音楽.
Ob(ルルー)の自由自在なカデンツとカラフルな音色が素晴らしかった.
続いて, プーランク「三重奏曲」(Ob, Bsn, Pf).
第一楽楽章はcoolなピアノからスタート.
それに応えるバソン(オダン)の音がとてもセクシー.
次々と飛び出てくるメロディは3人で会話をしているようで, チャーミングな演奏だった.
第二楽章は, 落ち着いてロマンティックな音楽を聴かせた.
そして第三楽章は一転, 軽快な音楽.
3人の息もぴったりの, 壮大でドラマティックな演奏だった.
前半の最後は1948年生まれの作曲家・フィリップ・エルサンによる「復活祭の歌(シャン・ド・パーク)」.
レ・ヴァン・フランセのための新作なのだという.
単一楽章の自由な形式.
テンポ感や色が次々と変わり, ラストは海に入るように静かに終わっていった.
休憩を挟んで, 後半はアルベリク・マニャールの「五重奏曲 op.8」(Pf, Fl, Ob, Cl, Bsn)からスタート.
第一楽章は ほの暗い雰囲気のなか, 終盤 大きな流れがtuttiによって作られ, また消えていく様が美しかった.
第二楽章は長いPfとClのduoからスタート.
このCl(メイエ)が安心感のある音で美しかった.
音楽はPfのソロを経て五重奏へ.
正直 耳慣れない, 不思議な響きが続くが, これが柔らかく心地よかった.
第三楽章は勇ましく うたうObとパーカッシヴなPfが印象的.
最後の第四楽章は兵隊の行進曲のようにコミカルにスタート.
いったいこれは何なんだ?と思っていると, 次は不思議な和音が柔らかく歌われる.
色んな仕掛けが飛び出し, バラバラになりそうでいながらも音楽はまとまりをもっていて, そのバランス感が絶妙だった.
マニャールは はじめて聴く作曲家.
正直, 分かりやすい曲ではないと思う.
しかし, 音の流れに身を任せて聴いていると, これがなんとも心地よく, 楽しく愉快.
不思議な経験だった.
本日最後はプーランクの「六重奏曲」.
第一楽章は大胆に始まり, よく動く(!)Obが印象的.
また, tuttiサウンドがとても厚く心地よい.
その厚い響きと, 中間部の個々のソロの繊細な響き(消え入るようなpの表情豊かなこと!)のコントラストが素晴らしくて, まるで映画を一本見ているかのようだった.
甘くロマンティックに歌われた第二楽章は, やわらかいタッチで美しい演奏.
最後の第三楽章は, 妖しくスリリングでcoool!
自由に吹いている(ように聴こえる)のに, それでいて全体としてしっかり統一感のある演奏になっている
(なかなかこうはいかない…).
とてもしっくりとくる演奏だった.
鳴り止まないカーテンコールに応えて演奏してくれたアンコールは, テュイレの「六重奏曲」よりガヴォット.
パユが日本語で曲名を紹介してくれた.
繊細なやりとりがキラキラしていて美しかった.
さらに鳴り止まないカーテンコールに, プーランクの六重奏曲の第一楽章の最後も
もう一度演奏してくれた.
大人の極上の遊びのようで, 何度聴いても楽しい演奏.
終演は21時半.
21日から連日(!)の全国ツアー中の6人.
大熱狂のなか何度も繰り返されたカーテンコールと, それに応えて何度も登場してくれた6人に, 皆 笑顔になった音楽会だった.(※他の公演ではプログラムにベートーヴェンが入ることもあったようです. 彼らがあの自由さでどうベートーヴェンにアプローチする(した)のか…, う~ん, 気になる!)