山形交響楽団 第256回定期演奏会
「新たなる地平を目指して:世界を席巻する名手 バボラークが誘う世界」
2016.10.16, 3 pm
start / 山形テルサホール
今回の山響は飯森さんではなく, なんとラデク・バボラークの指揮
(吹き振り).
コンマスは今年サイトウキネンでも(同じくコンマスとして)バボラークと共演した髙橋和貴だ.
「山形は19歳のときに来て以来21年ぶりだ」とのバボラークのプレトークから, コンサートは あたたかく始まった.
1曲目はモーツァルトの「ホルン協奏曲
第3番 変ホ長調 K.447」.
弦5部とCl, Fgの編成 (Obは無し).
第一楽章, 吹き振りのバボラークが奏でた音は柔らかく絶品!
カデンツァに惹きこまれた.
続く第二楽章も柔らかくスタート.
Hnの音色にオケ全体が柔らかくなったような印象.
第三楽章は力強く始まり, 快活に演奏された.
2曲目はイスラエルの作曲家ナアマ・タミールによる「スプリング・イリュージョンズ」.
曲はFlの長い独奏からスタート.
弦の緻密なハーモニーの上で/中で, Obが, solo Vnが, Flが揺蕩う.
その様がとても切なく, ハーモニーの海にどんどん押し流されていくよう.
やがて, ハバネラのリズムとともにカスタネットが登場すると, 音楽は妖しさを増した.
Timpのsoloを挟んで, 管楽器のアンサンブルが再び切なく歌い始めると, 洋の東西どちらでもないような独特の雰囲気が充満するのだった.
パロディのような, 哀歌のようなたくさんのモチーフが複雑に重なり合う作品.
ラストはまるで夢から覚める瞬間のように, 疾走感たっぷりに駆け上がった.
(アタッカで繋がれた二楽章形式, 20分強の楽曲. Flがとても素晴らしかった!)
休憩を挟んで3曲目は, メンデルスゾーン(パウル・アンゲラー編)の「無言歌集」より4曲.
ホルンと弦楽による編成.
再び吹き振りによるバボラークの指揮によってはじめられた.
この曲のチョイスが, Hnの豊かな表現を存分に味わえてとてもよかった.
(弦がもっと整うとさらによかったか…)
本日の最後, 4曲目はベートーヴェンの「交響曲
第4番 変ロ長調 作品60」.
Hn・Tp・Timpとナチュラル楽器が入って, 第一楽章は素朴で切ないadajoからスタートした.
続くAllegroからは華やかで煌めくような音楽が奏でられた.
第二楽章は優雅なadajo.
(今日の演奏では気持ちよく聴いているところで緊急地震速報のアラームが客席中から鳴り響き, 驚いてしまった…)
第三楽章も軽快で軽やかな演奏.
trio部も小粋に演奏された
(ラストのナチュラルホルンのfはやはり難しいのか…).
第四楽章は快速で心地よく奏でられる.
リレーされ, 続いていく音の連鎖が気持ちよく, その上に時折現れるfは指揮者によって力強く振られた.
終演は17:00.
バボラークの魅力を存分に味わえた演奏会だった.