12/09/2015

蜷川実花展



蜷川実花展
2015.11.28 - 2016.02.28 / 新潟県立万代島美術館

広い展示室の壁は360度作品に取り囲まれている.
観客は最初の展示室(「Flowers2015)」C-print 106点)から色の洪水に飲み込まれる.
生き生きとしたその色彩には圧倒的な力があり, 観るものをぐっと引き寄せる.

続く展示室は「桜」(2011)の展示.
最初の展示室とは一転, 静かに, でも気高く咲く桜の姿が映し出される.
震災の年に撮られたという花の数々.
万華鏡の底のような桜の花びらが印象的だった.
どこに焦点があるのか, まるで水の中にいるような気分になる.

3つ目の展示室「TOKYO INNOCENCE」(2013-2015)に続いて, 4つ目の展示室は「PLANT  A TREE(2011)の展示. 
こちらは雪のような, 冷たく散る桜.
スピード感のある画で, 2展示室の桜とは全く別の表情を見せる.

5展示室は「Portraits」(2012-2015)のシリーズ.
被写体の意外な一面が映し出されるのは蜷川の作品ならでは.

6展示室では中くらいの作品「noir」(2010)が横一列に展示室を取り囲む.
世界の暗い部分もまた, 蜷川は鮮やかに切り取るのだ. 

7展示室での「noir / Self-image」(2010-2015)の展示に続いて, 8展示室では「Self-image」(2013)が展示される.
モノクロームが逆にリアルを映すのは余計なものを削ぎ取った結果だからか.
自分自身を映すとは, いったいどんな経験なのだろう.
そんなことを考えながらセルフポートレートの数々を眺めた.

最後の第9展示室は「花火」(2014-2015)の展示.
まるで抽象画のような作品の数々.
まばゆい, 光の爆発.
圧縮されたエネルギーを切り取って, 花火の生々しい部分を強烈に見せた.

活動20年の区切りを迎えたという蜷川実花.
474点にのぼる作品の数々から, 彼女の作品の多彩さを存分に感じることが出来る展覧会だった.

(久し振りに寄ってみようと思った古町の「砂場」(焼き立てスコーンが最高でした). なんと…, 閉店してしまっていたんですね…)