茂木健一郎 (2015). 東京藝大物語. 講談社.
key words:トビカン前の飲み会, 大浦食堂事件,(ジャガーの)叔母のキャフェオレ
東京藝術大学で講義をもつことになった著者が, ジャガー, ハト沼, 杉ちゃん, ユウナちゃんら藝大生とともに繰り広げる日常を描いた作品.
講義にやってくる福武總一郎や大竹伸朗, 荒川修作, 束芋, 内藤礼ら豪華ゲストとのエピソードや, 講義後の東京都美術館(トビカン)前の広場で繰り広げられる盛大な飲み会, そこでの藝大生とのやりとりが綴られる.
「芸術、好きだったんだよね。科学者になるつもりだったけど、芸術家のことは、ずっと尊敬していた。」(:90)
中盤, そんな学生とのやりとりを通じて, かつて油絵を描いていたことを告白しだす著者が描かれる.
そして, 学生の姿に昔の自分を見る著者は, 物語の終盤(芸術に果敢にも挑戦する若者たちを静かに応援しながら)こういうのだった.
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青春とは、浪費される時間の中にこそ自分の夢をむさぼる行為ではなかったか。
偉大なる暗闇は、この上なく輝かしい生命の光にも通じる。
芸術のゆりかごは、その薄暗がりの中に、こっそり、ゆったりと揺れている。(:203)
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なんだか少し懐かしい気分になりながらも, すっと読める一冊だった.