「アマデウスの旅」Vol.24:最終回
飯森範親 指揮 / 山形交響楽団
2015.02.14. 4 pm
start / 山形テルサホール
演奏が始まる前に指揮者によるプレトークがあった.
9年前に計画されたというモーツァルトのプロジェクトも, 今回の24回目で最終回となる.
24回すべて来場したという観客も多数いて, それだけ注目されていた取り組みだったのだなぁと思う.
ステージ上は, 下手から1st, Vc, Fg, Cembalo, Vla, 2ndと並び, Vcの後ろにHnとOb, 2ndの後ろにTp・TbとTimpといった配置.
CbはHnとObの後ろ, 真正面に配置されていた.
1曲目はシンフォニーの1番 (変ホ長調, K.16).
モーツァルト8歳のときの作品である.
タクトを持たず, 甘く可愛らしく始められた.
ナチュラルホルンの音色が心地よい (改めて難しい楽器だとも思ったが…).
2曲目は「交響曲 ニ長調 K.97」(47番).
モーツァルト14・15歳のときの作品といわれている.
山響のモーツァルトシンフォニーサイクルでは, 偽作と疑われている作品も取り上げられてきている.
今日の演奏では第2楽章の柔らかい演奏が秀逸.
この優雅で細やかな動きを聴くと, やはりモーツアルトの作品なのだろうと思ってしまう.
続く第3楽章の短いメヌエットを挟んで, 駆け抜ける第4楽章もなんとも華やかだった.
長調・短調を自由に行き来するメロディーも心地よかった.
休憩を挟んで, レクイエム(ニ長調, K.626)の演奏.
ファゴットとバセットホルンの切ないアンサンブルから始まる (「Requiem aeternam」).
続く「Kyrie」が圧巻.
合唱が本当に素晴らしい.
終わり方もcoolで, ゾワゾワした.
「Dies irae」, 「Tuba mirum」(古楽器のトロンボーンもやはり難しい楽器なんだなぁと思う…)を挟んで, 「Rex tremendae」では合唱が迫力たっぷりに歌い上げられた.
「Recordare」ではソリストたちのミスが目立ってしまい少し残念.
「Confutatis」, 「Lacrimosa」は合唱がたっぷりと厚いハーモニーを響かせた.
ラストのAmenが高らかに歌い上げられなんとも心地よかった.
そしてなんといっても, 「Domine Jeus」で合唱団が奏でた重厚なフーガが今日の白眉だった.
仕掛けをしっかりと見せながら次々と湧き上がってくる合唱は, こちら側と向こう側を懸命に繋ごうとする まさにレクイエムそのもので, 本当に素晴らしい合唱だった.
「Hostias」ではガラッと音色を変えて柔らかく合唱がうたわれた.
続く「Sanctus」は再び高らかに, そして「Benedictus」ではラスト(「Hosannna」から)の合唱がこれまた高らかに歌い上げられ心地よかった.
「Agus Dei」も合唱が秀逸.
「Communio」(Lux aeterna)は「Cum sanctis tuis」から続くエンディングが力強く歌い上げられ, 印象的だった.
終演は18時.
長いカーテンコールが客席の熱狂を表していた.
山教アマデウスコアの魅力を改めて感じた一日だった (パンフレットにあった佐々木正利先生(山教アマデウスコア音楽監督・岩手大学教授)の解説もとっても楽しかった).
(写真は山形市・四山楼)