吉村龍一 (2012). 焔火. 講談社.
key words:狸撃ち, 鮭漁, 瞽女, 石切り
どうかこのまま静かな日々が続きますように….
もはや縋る気持ちでページを読み進めた.
愛する人を守るために, 主人公の少年・鉄は殺人を犯す.
そして故郷に別れを告げ逃亡するのだった.
狸撃ちや山の暮らしを通して身に付けた知恵を役立てながら, 鉄は新しい土地へ必死に順応しようする. 愛する人を守るために, 主人公の少年・鉄は殺人を犯す.
そして故郷に別れを告げ逃亡するのだった.
次第に働くことの幸せ, 人のあたたかさ, 生きる喜びを取り戻していく鉄.
しかし, 束の間の幸せはことごとく握りつぶされ, いつも土壇場でひっくり返されるのだった (:124).
最後まで, ずっと.
しかし, 束の間の幸せはことごとく握りつぶされ, いつも土壇場でひっくり返されるのだった (:124).
最後まで, ずっと.
もしもそれを運命というのなら, あまりに惨い.
安住することも許されず, 愛する人と一緒にいることも許されない.
安住することも許されず, 愛する人と一緒にいることも許されない.
そんな惨い状況が重なるなか, 一度は死を選ぼうとする主人公.
しかし, 自由を奪われるたびに鉄は, やはり生きたいと思うようになっていくのだった (:136).
文中のところどころにあらわれる食べ物の描写や瑞々しい自然の見事な描写も, 過酷な運命に抗って生きようとする主人公の生への欲求に繋がる.
文中のところどころにあらわれる食べ物の描写や瑞々しい自然の見事な描写も, 過酷な運命に抗って生きようとする主人公の生への欲求に繋がる.
物語の最後, 自分とその境遇を重ね合わせる少年・作次と出会ったことで, 鉄の生活はまた新しい喜びを得る.
しかし, 作次を取り戻しに来た人攫いたちが, またしてもその幸せを握りつぶす.
そのラストシーンが圧巻である.
凄みのある文章を次々読み手に与えた後, 物語は断ち切られる.
スピード感に溢れ, まさに手に汗を握るラストである.
そのラストシーンが圧巻である.
凄みのある文章を次々読み手に与えた後, 物語は断ち切られる.
スピード感に溢れ, まさに手に汗を握るラストである.
「焔火」は憎しみの火.
瞽女のあや子から, 石切りの導師・青雲海さまから授かった真言を身の内に, 鉄はその焔に最後まで抗う.