2/11/2012

星野源 フィルム


星野源 フィルム
2012.02.08.released / VIZL-456

さっきから何度聴いただろうか.
この中毒性, 「ばかのうた」や「くだらないの中に」に同じく, やはり強力だ (2ndアルバム「エピソード」は実はそうでもなかったのだけれど…).

「ホントにねぇ, いい映画なんですよ, 中身が. だから, 絶対いい曲作ってやると思って」

DVDでそう言っていた星野源.
タイトル曲「フィルム」は映画「キツツキと雨」の主題歌になっている.
すぐそばにあるような歌の相方として選んだのは, ギター・ベース・ドラム・ピアノ, そして, バイオリン・チェロ・クラリネット・トランペット・トロンボーン・ホルン・手拍子だ. 

優しいホーン・セクションと手拍子に乗せて歌われるのはこんなうただ.

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どんなことも 消えない小さな痛みも
雲の上で 笑って観られるように

どうせなら 作れ作れ
目の前の景色を
そうだろ

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役者としての自分は, たとえ凄惨な場面であったとしても, 虚構と現実を行き来するのを楽しんでいる.
では, 普段の人生での苦い部分にもそれを適用できないか….
そう思った, と歌い手はいう (ブックレットより).

優しさの裏側(向こう側)にある力強い言葉が, このアーティストの一番の魅力だと思う.

「そして生活はづつく」(星野源 (2009). マガジンハウス)で星野源はこう書く.

あと少しで死んでしまうというとき、走馬灯のように人生を振り返って「ああ、ひとりじゃなかったんだ」と思えたら、きっとすごく幸せなんだろう。けどもし自分がひとりでないなら、なるべく早めに気付きたいとも思う。(同書:183

「そしていつものように生活はつづくのだ」, .
その生活に溢れている優しさを, アーティストはそっと拾い上げる.
素直にそれを表現し歌うことは, とても勇気がいることだ.
それができる強さと優しが, きっとこのアーティストにはある.

そしてもうひとつ, 「くだらないの中に」もそうだったが (SAKE ROCKもそう, 「ラディカルホリデー」なんて最高だ), DVDがとてもいい.

笑って泣いて, しばらくはこの世界を堪能したいと思う.

フィルム(初回限定盤)(DVD付)
ばかのうた
くだらないの中に(初回限定盤)(DVD付)
そして生活はつづく
ラディカル・ホリデー その1 [DVD]