2/18/2018

松浦寿輝 BB/PP


松浦寿輝 (2016). BB/PP. 講談社

key words:青ひげ (Blue Beard = BB), 道志村, カレル橋, 『アローン・イン・サンフランシスコ』(:139

9つの物語が収められた短編集 (本書のタイトルは表題作のタイトル).

BB/PP」は「タイレル社製ヒト型フェミニン擬體F-3000」(:11)(タイトルの「PP」はこのヒト型AIPruple Pubesから)を手に入れた青ひげ男の凄惨な最期を描いた, サスペンスホラー映画のような一編.
この話だけがなんともグロテスクで異色であり, 印象的だった (同書に収められている「四人目の男」もサスペンス風).

「ミステリオーソ」は音を扱った, 音楽のような物語.
セロニアス・モンクのピアノの音がメランコリックに蘇る.

「石蹴り」は時間を漂うような感覚がなんとも不思議な物語.
人間の時間と記憶とはいったいなんなのだろうか.

同じく, 「薄ぼんやりと、ゆらりと二つ」も記憶の波に飲み込まれるような幻想的な雰囲気でいい (「薄ぼんやりと、ゆらりと二つ」ともうひとつ「水杙」は特に短い小説).

いずれも, 不思議な透明感, 浮遊感を味わえる作品だ.

(写真は山形市・ノートルクルールのシャタン. ラム酒入りのマロンムースの中にバニラのクリームが入っています. 美味しい!)