12/07/2014

藤田嗣治と土門拳の交差


藤田嗣治と土門拳の交差:時代をともにした二人の視線
2014.11.08 - 2015.01.18 / 秋田県立美術館

パリから帰国した藤田を, 1941年から彼が再び離日するまでの8年にわたって撮影した土門.
そのときのモノクロ作品が20点ほど展示されていた (3階展示室. この他に「世相」や「室生寺」, 「文楽」など土門の作品も合わせて展示).

絵を描く技法について秘密主義だった藤田も, 土門には被写体として自分を差し出していたのだという (展示解説より).
その証拠に「粋なズボンにメキシコ風帽子で」と題された下六番町のアトリエで撮影された写真には, 上半身裸でお茶目なポーズを取る藤田が写されている.
二人の信頼関係が見えるような作品だった.

時代は戦争真っただ中.
アーティストたちはいったいどんなことを想っていたのだろうか.
ファンキーな藤田の姿をよそに, そんなことを考えてしまった.

ところで, 同美術館の2階展示室に大きく掲げられている藤田の壁画「秋田の行事」.
竿灯祭りの勇壮な姿を中央に配置し, その左右に秋田のさまざまな風俗を描いた大作であるが, この絵の存在感が想像以上に大きかった.
秋田の資産家・平野政吉の米蔵一面を使い, 15日間で描きあげられたのだという勢いのある作品.
螺旋階段を上がった先に見えるその光景が, とても印象的だった