大統領の料理人
監督 / Christian Vincent(クリスチャン・ヴァンサン)(2013年・フランス)
映画は, 南極の基地で料理を振る舞うパワフルな女性の姿から始まる.
カトリーヌ・フロ演じるオルタンス・ラボリだ. モデルとなったのは実在した人物「ダニエル・デルプシュ」で, 実際にミッテラン大統領の専属料理人を務めたのだという.
大統領のプライベートな料理人として招かれたオルタンス.
宮殿の決まりきった料理に辟易していた大統領からの要望はただひとつ, 「シンプルな料理を, 祖母の味を作ってほしい」というもの. その言葉に応えて(いや, その言葉が無くてもきっと)オルタンスが作るのは, フランスの伝統的郷土料理の数々.
ときにエリゼ宮のしきたりやしがらみと独り闘いながらも, 彼女がつくる料理はどれも大らかであたたかい.
オルタンスが何故
南極の基地で料理人をしていたのかは最後に明かされるが, 彼女の料理に対する姿勢, 生き方がとても魅力的で印象に残った.
そしてもちろん, 画面に登場する料理がどれも美味しそうで, その香りまでも漂ってくるようだった. なかでもトリュフの美味しそうなこと (映画のキーワードのひとつは間違いなくトリュフだ).
観る者を幸せにする, 魅力的であたたかい映画だった.