9/14/2012

ヤング@ハート Live in JAPAN 2012


ヤング@ハート Live in JAPAN 2012
2012.09.14 / りゅーとぴあ 新潟市民芸術文化会館 劇場

ドキュメンタリー(DVD)を観てから, ずっと気になっているバンドがあった.
それがヤング@ハートだ.
今回, 念願叶ってその公演を観ることができた.

ステージに上がったヴォーカル・メンバーは24.
73歳から90歳までのヴォーカリストたちだ.

ライヴはおじいちゃんがリードを務める「へブン」からスタート.
平均年齢81歳の合唱隊が「ヘブンには何もない」とうたう (天井から吊り下げられた6つの小さなマイクが, コーラス隊のうたもちゃんと拾う).

ライヴはオムニバスの形式で構成されていて, 様々なジャンルの楽曲でそれぞれがsoloをとっていくのだが, どれも味があっていい.
多少ピッチが外れようが, 声が震えようが, そんなことはどうでもいい.
長年纏ってきた声というものは, やはり魅力的だ.

ライヴの中盤, ロックンロールから一転, おばあちゃんが優しく歌ったのは「上を向いて歩こう」(日本語で!)だった.
こんなに切なく逞しいうただったのか.
おばあちゃんがうたうと, このうたもあたたかい説得力を帯びる.
ぴったりではないか.
日本語のうたはさらに続き,「リンダリンダ」, 「雨上がりの夜空に」がうたわれ, ライヴは前半を終了した.

青いシャツから黒い衣裳に着替えて, 後半はjackson5の「I want you back」からスタート.
リードを務めたおじいちゃんが見せたムーン・ウォーク(っぽいステップ)が可愛らしかった.
ライヴ後半もロックからブルース, ゴスペルまでさまざまなジャンルの音楽がうたわれる.
杖をついたおじいちゃんのラップも素敵だった.

終盤, ステージにはスクリーンが登場し, ドキュメンタリー映画の一部が映された.
見覚えのある顔が映る (以前DVDで観た). 
この30年でメンバーが3, この世を去ったことが告げられ, 彼ら・彼女らのためにうたう, とのアナウンスがある.
そして, さっきまで座っていたおじいちゃんが立ち上がり, マイクを握りしめて叫ぶ.
I feel good!」と.
最高にcooool.

続けて, 「トキオ」, 「ファンキー・モンキー・ベイビー」と, 日本語の曲も披露された (「トキオ」では「トキオ」を「ニイガタ」に変えて!).
最後にマイクをオフにして歌われたのは「forever young.
2時間しっかりうたわれたライヴの最後にぴったりな曲だった.

ヤング@ハートは1982年にアメリカで結成されたコーラス隊(ヴォーカリスト集団)である.
ボブ・シルマンが音楽監督と指揮を務め, そのレパートリーはロックからブギウギ, R&Bまで幅広い.

さて, 日本でもたとえばアートデリバリーの活動や, 最近ではアートリバイバルコネクション東北高齢者との学び合い事業など, 高齢者とともに行うアート活動が行われつつある.
しかし, そこでは(高齢者ではない)アーティストが高齢者を「サポート」する, というスタンスがやはり多く (もっとも, ARC>Tの場合はコンテクストが少し異なるが…), 高齢者側からの積極的な発信はまだまだ少ない.
でも, ヤング@ハートを見る限り, お年寄りたちは若者の力を借りなくとも全然元気だ.

老いや死が側にありながらも, ヤング@ハートがネガティブさを感じさせないのは, お年寄りたちが何よりもうたが好きで, 楽しんでいるからだろう.
うたっているメンバーは皆とってもキュートだ.

どんなふうに音楽と付き合って, どんな選択をして, どんなふうに生きるのか.
それは全て, 一人ひとりに任せられている. 
でもそれはなにも心細いことではない.
こんなにも逞しく, 楽しいことなのだ.
そんなことを考えさせるライヴだった.

ヤング@ハート [DVD]