TK from 凛として時雨 flowering
2012.06.27.released / AICL-2390~1
ロックという音楽はどうしてこうも逆説的にしか優しくなれないのか.
TKの新譜を聴いてそう思ってしまう. 自分を傷つけることで優しさが滲み出てくる…, そんな切なさがオスティナートとしてずっと漂っているのだ.
時雨ではなんだか隠れてしまっていた, そんなせ繊細な分が現れているようなアルバムだった.
1曲目から爽やかに疾走する世界 (「flower」).
ギターとドラムの相性がとてもいい. 泣きながら駆け抜ける2曲目「Abnormal trick」.
歌詞が印象的な3曲目「haze」.
執拗に繰り返されるフレーズがcoolな4曲目「phase to phrase」 (まるでジャズだ).
気持ちよく漂う5曲目「white silence」.
6曲目「12th laser」は正統派すぎてちょっと異色だと感じてしまう.
壮大で切ない物語である7曲目「film A moment」(7分を越える)のあとは、3曲優しい歌が続く.
うち2曲はインストだ.
テキストをもつラスト曲である9曲目「fourth」でうたわれるのは, 夜の風に隠された秘密のうた.
どことなく懐かしい歌声に(なぜかFishmansを思い出してしまう…)聴き入ってしまう.
「haze」でTKはうたう.
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笑って
今君が霧の中で 手に入れられないものに苦しむなら刺していいよ 今だけ
笑って 光が見えたらいいね
暗闇は僕が切り裂いておくから
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優しくうたわれるそのテキストに, ドキっとする.
DVDがまたいい.
ひとつの映画となったライブ映像である. flowering(初回生産限定盤)(DVD付)