下野竜也指揮 広島ウインドオーケストラ 兼田敏「交響曲」
2011.04.30.released / BOCD-7327
聴くよりも吹く方が楽しい!! 吹奏楽。
とは、ちょっと「さよなら」します。
大きく話さなくても、心に、すっと入っていくような言葉を目指します。
そんな吹奏楽を目指してみます。下野は, 「当面の、私の目標は、広島ウインドオーケストラの演奏会が、大人のデートの場所になれるような音作りです。」と続ける.
なんて素敵な言葉だろう.
このCDは, 2011年2月27日に広島で行われた演奏会のライヴ盤である.
そのセットリストにまずは驚くが (音響空間を織り上げていくような平石博一「水を抜けて」, 吹奏楽作品は珍しい糀場富美子の「シリウス」, フランス語名である「2つの音風景」というタイトルがしっくりくる保科洋「響宴Ⅰ&Ⅱ」, トランペットが印象的な兼田敏「交響曲」の4曲), 心地よい包まれるような響きに, さらに驚く. 前述した下野の目標は, この音を聴く限りまずは達成されたのではないだろうか.
中でも, 保科洋「響宴」が秀逸.
どこまでも広がっていく世界観と透き通る音. こんな経験が吹奏楽であっただろうか, と, レーベルのキャッチコピーのようなことをつい思ってしまう (笑).
結成18年目となる広島ウインドオーケストラは, 年2回の定期演奏会に加え, 数多くの録音を世に出している.
そんなバンドと, 下野竜也との共演がこれから続いていくのだ. 次の作品も楽しみである.
兼田敏:ウインドオーケストラのための交響曲