9/23/2017

GAGAKU展


平成29年度 山形県立博物館プライム企画展
GAGAKU:やまがたに息づく宮廷文化
2017.09.23 12.03 / 山形県立博物館

本日より開催される「GAGAKU」展.
京都から最上川舟運により伝わったとされる山形の雅楽についての展示は, 山形県初になるという.

最初に記念講演(「江戸時代の雅楽と皇室祭祀」)を聴く.
講師は元宮内庁式部職楽部楽長の安倍季昌氏 (大化の改新のころより続いている, 安倍家29代当主とのこと).

講演会前半は, 雅楽研究家の荒川和人氏や地元演奏家のみなさんを交えての楽器紹介や, 歴史についての講義.
明治維新まで一般人は演奏することができなかった雅楽が唱歌で伝承されてきたことなどが紹介される.

後半は皇室の祭祀について, 賢所(かしこどころ)の見取り図を資料に紹介される.
また, 東遊びのDVDも鑑賞した.

講演後, 「指揮者役は誰になるのか?」との客席からの質問に対して, 「指揮者役はおらず, 全員一致で演奏される. うまくいったときは自分の音も吸い込まれるような感じになる」と安倍氏が答えられたのが印象的だった.

講演会後, 企画展示室へ.

第一部「雅楽の世界とやまがた」では, 尾花沢雅楽(念通寺雅楽)において用いられてきた楽譜や楽器が紹介される.

第二部「尾花沢雅楽と京都方楽家・安倍家」では, 3つの雅楽書(書写本)が初公開・展示される.
いずれも地方に伝わること自体が極めて稀なものであるという.
江戸時代後期のものらしいが, とても大事に保存されてきたことが見てわかる.
それだけ当時の尾花沢山久(やまきゅう)鈴木家にとって雅楽は大切なものだったのだろう.
この他にも, 口伝によって伝えられる雅楽の伝授について, 弟子が修得したのち師匠に対して口外しないことを誓約する「禁口誓約書」など, 珍しい資料が多数展示されていた.

第三部「やまがたに根づいた雅楽」では, 天童の林家舞楽や, 江戸時代・庄内藩の雅楽への取り組みなどが紹介された.

展示物はひとつの展示室に収まる量であるが, 興味深い資料を多数目にすることができた.