山崎ナオコーラ (2017). 母ではなくて、親になる. 河出書房新社.
key words:「赤ん坊は灯りのようだ。周りを照らす」(:14), 「ああ、ここは美しい世界なのだなあ」(:169)
web河出に掲載されたエッセイをまとめた一冊.
子育てをするにあたって筆者が決めたことは, タイトル通り「母ではなくて、親になろう」(:12)ということ.
だから筆者は, 行政のつくるパンフレットやポスターにある「パパはママの話を聞いてあげましょう」「パパは子供だけでなくママも大事にしましょう」などといった言葉にも違和感を訴え
(:111), 「フェミニンな男性を肯定したい」(:173)ともいう.
子育ての本は数多く読んだが, 一番しっくり来て共感できる本だった.
印象的だったのは, 未来よりも過去よりも今が大事だと気付けたという部分
(28「思い出作らず」:238-244).
今 目の前で笑っていてかわいい子どもを必死になってカメラで撮り (子どもと対面している自分の顔をカメラで隠しながら), 未来のために一番輝いている「今」を犠牲にしていることに違和を感じた経験から, 筆者はこう述べる.
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子どもといると、時間というものに意識的になることができて面白い。
未来はそんなに重要ではない、今に希望を持たせるための概念だ、と思い始めてから、より未来を良いものだと感じられるようになった気もする。(:244)
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子どもと過ごし, 子どもの今を からだいっぱいに感じられる時間は案外少ない
(と思う).
だからこそ, 今を楽しみ, 今を大事にしなければならないなぁ, と, そう感じさせてくれる一冊だった.
(上の写真は喜多方・食堂「つきとおひさま」の旬のおかず定食. 下の写真は会津・アドリア北出丸カフェの秋のキャラメルクレープ
(2種のジェラートと安納芋クリーム). 会津, 外のテラス席は金木犀のいい香り~!)