第51回福島県吹奏楽コンクール・高等学校第一部
2013.08.04 / 郡山市民文化センター大ホール
吹奏楽コンクール福島県大会・高等学校の部には, 22の団体が出演した.
最後の講評で審査員が「福島は必死で音楽をやろうとしている, 独特の熱気を感じる」と言ったとおり, どの団体も素晴らしい演奏を披露した.
だが, 午前中の演奏を聴いて思ったことは, サウンドの魅力の有無は最初で分かってしまう, という厳しい現実だ.
金管・木管のブレンドの無さ, 音がまとまらずに飛んでこないフォルテ, 飽和し遅れてしまうAグループ, 安定感が無く重いperc.…, は, 最初で分かってしまうのだった. フレーズについても, 不自然なフレーズや終わりの雑さ, 一本調子で演奏されるフレーズの寂しさといったものを, 改めて感じた (遅れるAグループと重い裏打ちで演奏されるマーチのストレス…, も改めて痛感…).
昼には地震があってドキッとしたが
(ちなみに先月末の山形県大会では土砂災害警戒情報を知らせる緊急メールが多発!), 午後の最初のブロックで演奏した福島県立平商業高等学校は, 課題曲(Ⅲ, 岩井直溥「復興への序曲『夢の明日に』」)がとてもお洒落で惹き込まれた.
残響が美しく, そこに入って来るsaxのsoloも雰囲気満点だった. 自由曲の交響曲(矢代秋雄/篠崎卓美)は, うたが美しく心地よい.
後半, 動き出したときのcoolさが見事だった (Tp3人, Tb4人がbravi!).
次のブロックで演奏した福島県立湯本高等学校は, 課題曲Ⅴ(広瀬正憲「流沙」)の冒頭, Tbが軽くす~っと入る仕方でカッコいい.
音がしっとりしていて, ラストも整理されていて心地よかった. 自由曲(R.シュトラウス/高木登古)では, 深みのある金管が秀逸.
サウンドのバランスやハーモニーも心地よくて, まるでステージが客席に近づいたかのような印象を受けた.
本日最後に演奏した福島県立磐城高等学校は, 学ランではない姿が印象的.
課題曲(Ⅴ)はマーチかと思うような大きな振り始めの指揮で, ガツんと始まった. たっぷり鳴らされ飛んでくる音が, これまでの団体とはやはり違う別物.
多彩な音色と質感が印象的だった.
自由曲は, 福島弘和「『相馬流山』の主題による変奏曲」.
tubaまでどの楽器もしっかりと歌う厚みのあるサウンドに引き込まれる.
貫禄たっぷり, 聴かせる演奏だった.
最後の講評(東京佼成Hn奏者・並木博美氏)では, 演奏しながら自分の音, まわりの音, そして全体の成り行きをしっかりと聴くことが大切だ, との話があった.
それをちゃんと聴けている人は, たとえフォルテになっても決してガナらない, と. そのうえで, 作曲家の想いをしっかりと考えることが大切だ, とのことであった.
まさにその通りだと, 演奏を聴いて改めて思った一日だった.
(そして余談だが, 「金賞ゴールド」(ゴールド金賞, ではなく)と読み上げられる結果発表も印象的だった…)
コンクール後に行われた多田将太郎(東京ブライト・ブラス・クインテット/ Tp)の特別演奏会では, 三沢慶の「See You Tomorrow」が優しく歌われた.