4/17/2013

川上一道 コンサート


川上一道コンサート
2013.04.17 / シベールアリーナ(山形県上山市)

山形交響楽団主席クラリネット奏者・川上一道のコンサートは, メサジェの「コンクール用独奏曲」からスタート.
ピアノ(弱奏)のフレーズが耳元で優しく響いて心地よい.
カデンツァのダイナミクスレンジも広く, フォルテでは(フォルテでありながら)太くやわらかい音が鳴り響く.
2曲目のショーソン「アンダンテとアレグロ」は後半の超絶技巧がcool.
自由自在に楽器を操る.
3曲目のハルトマン「セレナーデ 作品24」ではピアノ(高良仁美)とチェロ(松葉春樹)が編成に加わる.
クラリネットはときにイニシアチブをとる音, ときに滲む音を様々に奏で, どんな編成でも心地よくうたった.

休憩を挟んで後半はウェーバーの「協奏二重奏曲 作品48」から.
1楽章は音が遊んでいるようで楽しげ.
たっぷりしっとり歌われた第2楽章との対比が素晴らしかった.
続く第3楽章では, 生き生きとした瑞々しく幸せな音が奏でられて, 1つの楽曲で3つの全く違うキャラクターが描かれた.
音そのものに表情があるので安心して聴ける.
その後, ベールマンの「アダージョ 作品23 (囁くような綺麗な曲), ブラームスの「クラリネット三重奏曲 イ短調 作品114」(23楽章のすっとした終わり方と4楽章の迫力が心地よかった)が演奏された.
弱奏の安定感, そして方向性のある音の推進力が客席にしっかり伝わってきて, それがとても心地よかった.
楽曲によって次々と生み出された豊かな音色も流石であった.

アンコールで演奏されたのは, 演奏者の出身地である沖縄のうた.
ずっと遠くまで広がる美しい曲と, どことなくファニーな, 対照的な2.
最後までじっくりと聴かせる演奏会であった.