仙台フィルハーモニー管弦楽団 第273回定期演奏会
2013.04.20 / 仙台市青年文化センター・コンサートホール
ヴェルディの生誕200年目にあたる今年, 仙フィルの定期でもヴェルディ・プログラムが組まれた.
指揮を執ったのは三ツ橋敬子. 小柄な指揮者であったが, とてもアツい棒を見せた.
1曲目, 「運命の力」序曲では, 金管tuttiの大砲と, 木管・弦アンサンブルの哀愁をうまく対比させ, 奥行のある広い空間を生み出した.
一方で中間部の金管コラールはやわらかく包み込むような音を編み出し, もはや序曲ではない壮大な音楽を聴かせてくれた. チンバッソのバリバリと割れる音もヴェルディっぽさを演出した.
2曲目「オテロ」(「ヤーゴの心情の歌」)ではバリトン(青山貴)が深い響きでbravo!
オケとバリトンが化学反応を見せて, ゴージャスな音楽となった.
3曲目「リゴレット」(「あれかこれか」, 「悪魔め, 鬼め」, 「女心の歌」)では怒りと哀しみが次々と交錯して客席を惹きつける.
ここでもやはりバリトン(リゴレット)がbravoだった. リゴレットとマントヴァの対比や, それぞれに寄り添うオケの多彩さが面白かった.
4曲目「トラヴィアータ」(「第1幕への前奏曲」, 「思い出の日から」, 「ああ, そはかの人か~花から花へ~」)では前奏曲が白眉.
旋律は流れながらどんどん広がりを増して押し寄せた. 弦楽器が殊更美しかった.
「ああ, そはかの人か」のヴィオレッタ(ソプラノ:並河寿美)のコロラトゥーラもなんとも華やか.
まさにヴェルディ, イタリアオペラという雰囲気で満載だった (ステレオタイプかもしれないが…).
休憩を挟んで後半は「アイーダ」(「シンフォニア」, 「清きアイーダ」, 「凱旋行進曲」)から.
最初に奏でられたのは通常の前奏曲ではなく, それよりも拡大されている「シンフォニア」である. 表情を次々と変えて音楽は進んで行った.
「清きアイーダ」ではテノール(小原啓桜)がbravo!
ラダメスの純愛をたっぷりと歌い上げた.
続く「凱旋行進曲」は, いつ聴いてもやっぱり楽しい.
上下にバンダとして2本ずつ配置されたアイーダ・トランペットが高らかに鳴り響き, エンディングに向かって疾走していった感じが見事であった.
後半2曲目は「アッティラ」の「前奏曲」.
今回のプログラムで唯一, ヴェルディ初期の作品である. 弦楽器が, 短調の陰鬱な調べをしっとりと重く歌い上げた.
ラストは「トロヴァトーレ」より「第1幕フィナーレ」.
ハープを引き連れて登場した吟遊詩人(テノール)と, それに嫉妬する伯爵(バリトン)との対比が見事. ソプラノが加わって歌われた3重唱はラストに向かって絡まり, 激昂し, 圧巻の終わりを見せた.
オケのスピード感も爽快だった.
アンコールは「乾杯のうた」.
交互に歌うテノールとバリトンが愉快だった. ずっと続いたカーテンコールに, あぁやっぱり音楽はいいなぁ, と素直にそう思ってしまった, 心地よいラストだった.