山形交響楽団 第261回定期演奏会
2017.05.13, 7 pm
start / 山形テルサホール
今シーズンの山響定期, 第2回目は秀美さんとカツァリスの登場.
楽しみに行ってきた.
(駐車場が工事・縮小されたことによる観客の遅れを待つための)ちょっと長めのプレトーク(4番のシンフォニーはブラームス自身が「悲しみのシンフォニー」と呼んでいるものであること,
2楽章はフリギア旋法のメロディではじまることなどブラ4について詳しく紹介があったあと, ベートーヴェンではカツァリスと初共演であること, 作曲家兼ピアニストであるカツァリスは引き出しが多く第一楽章の最後の部分のカデンツァは今日はリストがつくったものを弾く予定であること, そしてモーツァルトでは3楽章形式でコンサートの序曲的な性格をもつNo.34をチョイスしたことや作品に現れるさまざまなオペラ的な要素を楽しんで欲しいということ,
あるいは指揮者による違いを楽しんで欲しい, といった楽しいお話)に続き, プログラム1曲目はモーツァルトの交響曲第34番ハ長調 (K.338).
華やかなファンファーレとメロウなゆっくりとした部分の対比が素晴らしい.
指揮者の後ろ姿そのままに, チャーミングな演奏.
優しい第二楽章, 疾走する第三楽章と合わせて最初からうっとりとさせられた.
続いてベートーヴェンのピアノ協奏曲第3番ハ短調 作品37.
ソリストはシプリアン・カツァリス.
第一楽章はこれぞ協奏曲といった楽章.
オケもPfも巧みな技をみせる.
終盤のカデンツァでは, はっきり明瞭な音から遠くで曇っている音まで
さまざまな響きが出てくる.
まさに ひとりオーケストラ, 圧巻の演奏だった.
第二楽章は冒頭の深みのあるピアノが心地よかった.
続くオケもふくよかで心地よい.
楽章終盤, Pfのソロで弱音をふわっと香らせたのが夢のなかのように美しかった.
Pfソロが切り込んで始まった第三楽章はロンド形式.
率直にベートーヴェンらしい音楽だと思う.
めまぐるしく終わりへと駆け抜ける, 疾走感たっぷりの音楽.
Pfは速いパッセージもcoolにカッコよく聴かせた
(カツァリスの爪のカチカチ当たる音が気になってしまったが…) .
Clのソロも素晴らしかった.
カーテンコールでは鈴木秀美さんとカツァリス, 仲のよさそうな二人が微笑ましかった.
アンコールでは, リハーサルの一日目に秀美さんがお願いしていたという, ブラームスのシンフォニー4番の最終楽章に出てくるシャコンヌのテーマをもとにした即興演奏を披露してくれた.
ペダリングやタッチの違いの妙を尽くした幻想的な響き.
自由自在のピアノ (終盤にはブルタバ(モルダウ)のメロディが登場!).
鳴り止まないカーテンコールに, 最後は投げキッスで応えたカツァリス.
楽団員にも愛されているのが分かるチャーミングなピアニスト(66歳!)だった.
休憩を挟んで, 本日のメインはブラームスの交響曲第4番ホ短調 作品98.
秀美さんがプロの演奏会でブラームスを取り上げるのは今回が初めてなのだという (プレトークより).
ブラームスが亡くなる12年前, 52歳にして書かれた最後のシンフォニー.
第一楽章は遅すぎないテンポでスタート.
重厚だがしっかり前に進む音楽.
8型の弦5部編成(8/7/5/5/3)から出てくるとは思えない, しっかりとした厚みのあるサウンドで, 厳しさとロマンチズムが絶妙な匙加減で共存する素敵な演奏だった.
客演のObが好演.
第二楽章はこちらも速めのテンポで, Hnの力強い(メランコリックではなく)メロディーからスタート.
続くClがとろける音色で, この対比が素晴らしかった.
改めて聴くと こんなにもたくさんの仕掛けがあったのかと驚かされる.
それに気づかせてくれる隅々まで行き届いた演奏だった.
第三楽章も力強くスタートし, 駆け抜けた.
歯切れよく小気味よい演奏だった.
第四楽章はノスタルジックに, 昔を懐かしむような音楽.
後半は さながら大海原へ乗り出す船のよう.
険しい道を堂々と突き進むドラマチックな音楽を壮大に仕上げた.
終演は21時20分.
ブラームスの年を4番から始めた山響.
残りのブラームスも楽しみだ.
(山形市kotonowaの焼き菓子. 文翔館裏に出来た素敵なお店です. ケーキもおしゃれで美味しい!)