7/25/2015

又吉直樹 火花


又吉直樹 (2015). 火花. 文藝春秋.

key word:武蔵野珈琲店

熱海の花火大会の惨めな営業で出会った「あほんだら」(漫才コンビ名)の神谷才蔵の伝記を書くことになった, 主人公「スパークス」の徳永.
そんな馬鹿な, という展開の連続だが, 全く現実ばなれしているわけではなく不思議と惹き付けられるお話.

神谷を自分と同種の人間だと思っていた徳永は, 神谷の才能に触れるにつれ, 実はそうではないのだと気が付いていく (50).
そして徳永は神谷を通して多くのことを学び, 考えるのだった.
それはまさしく師匠と弟子のように.

物語はそんな二人の半生を丁寧に描いていく.

「スパークス」解散を描くラストシーンが, なんともあたたかくて印象的だった.
笑いと涙があって, 彼らの人生はまさに「スパークス」の名に象徴されるがごとく, 火花が散るように刹那的.
早回しで彼らの人生を体験したような, そんな読後感だった


7/01/2015

きみはいい子


映画「きみはいい子」
監督 呉美保

午前中 東北福祉大の「芹沢けい介美術工芸館」にお邪魔した後, 夕方「フォーラム仙台」へ.
気になっていた映画「きみはいい子」を観てきました.

大人の, 子どもの声に, 鮮やかに変わるボーダーのあちら側とこちら側との関係に, 先生(高良健吾)が子どもたちに出した宿題に, じんわりと, きゅっと心が掴まれる.
観ている自分はいったいなにに泣いているのか.
考えることや言葉にすることの前で, 深く静かに揺さぶられる.
不思議な映画だった.
きっと世界は, あれこれ難しく考えるよりも, 案外シンプルなのかもしれない.

しあわせの街にべっぴんさんに, サクラは優しく降り注ぐ.
そして, 扉は力強く叩かれる.

(写真はこの間お邪魔した福島市「鉢の木」の生姜焼き定食. 厚切りロース肉(衣がついています!焼いてる?揚げてる?)にたっぷりのすりおろし生姜をのせて!)