又吉直樹 (2015). 火花. 文藝春秋.
key word:武蔵野珈琲店
熱海の花火大会の惨めな営業で出会った「あほんだら」(漫才コンビ名)の神谷才蔵の伝記を書くことになった, 主人公「スパークス」の徳永.
そんな馬鹿な, という展開の連続だが, 全く現実ばなれしているわけではなく不思議と惹き付けられるお話.
神谷を自分と同種の人間だと思っていた徳永は, 神谷の才能に触れるにつれ, 実はそうではないのだと気が付いていく
(:50).
そして徳永は神谷を通して多くのことを学び, 考えるのだった.
それはまさしく師匠と弟子のように.
物語はそんな二人の半生を丁寧に描いていく.
「スパークス」解散を描くラストシーンが, なんともあたたかくて印象的だった.
笑いと涙があって, 彼らの人生はまさに「スパークス」の名に象徴されるがごとく, 火花が散るように刹那的.
早回しで彼らの人生を体験したような, そんな読後感だった.