早野龍五・糸井重里 (2014). 知ろうとすること。. 新潮社.
keywords:事実の見方, 姿勢
物理学者・早野龍五と糸井重里の対談集
(文庫オリジナル).
原発事故直後にツイートを始めた早野は, 淡々と事実(データ)だけを発信し続けたのだという.
その姿勢に共感したのが糸井だった.
糸井同様, 早野のその姿勢と行動に周囲の人々がどんどん集まってきた状況が本書では紹介されるが, その様子は読んでいて本当に爽快である.
声高に危険を叫ぶのではなく, 事実を冷静に伝え続けた早野の姿勢に, 共感した人々が集まったのだ.
あとがきで早野はこう述べる.
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原発の事故は、起きてしまったことです。しかし、そこに生じた問題について科学的に考え、アプローチする態度が身についたら、将来大きな力になる。そういう道を示してあげたいなと思っています。(:172-173)
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科学リテラシーの大切さを僕らは震災で身をもって感じたはずだ.
全ての条件において正しいということは
きっと無い.
条件を見極め, それならこっちの道だ, という判断をすること, 事実をどの角度から「見る」のかということ, そしてその姿勢…, そんなことの大切さを改めて感じた一冊だった.