11/22/2012

大橋トリオ カルテット編成ライヴ2012


大橋トリオ カルテット編成ライヴ2012 "ohashiTrip" TOUR 新潟公演
2012.11.22 / 新潟市音楽文化会館

Winterland」から始まったライヴ.
まるで彼の部屋にいるかのような, そんなリラックスした雰囲気が心地よい.
いつもの つばの広い帽子でギターを弾きながら, 大橋トリオは朴訥とうたい始めた.

Winterland」に続いて演奏されたのは「そんなことがすてきです。」.
彼はうたう.

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特別じゃないものだって 僕にとってはとても大事さ
当たり前なんて ないんです

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優しい, 身近な音楽である (MCもまったり, ゆっくり).
それゆえに聴くもののすぐ傍まで迫ってくる音楽だ.

その後「東京ピエロ」や「顔」など, 馴染みのある曲が続く.
囁かれるうた, 爪弾かれる楽器.
シンプルでありながらもとても奥行のある響き.
そしてさまざまな楽器(ギター, ピアノ, ベース…)を操りながら, 囁くように歌われるヴォーカル.
センス抜群だ (バンドメンバーも然り).

後半にうたわれた「ゼロ」と「Turn your world around, Bing Bang」が心に残る.
「ゼロ」は静かな風景が心地よい.
Turn your world around」は幸せなワルツ.
思わず笑顔になる.

アンコール前 最後にうわたれた「Bing Bang」は, カズーとピアノのやり取りがかわいらしかった (大橋の一人二役).
ハッピーなうたに, 会場中の空気が柔らかくなるようだった.

アンコールで歌われたのは「窓」(矢野顕子)と「オールドタイム」の2.
ピアノで弾き語られた「窓」は, 小説を読んでいるような, そんな咀嚼感のある楽曲.
彼はうたう.

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この窓に 陽のひかり
この窓に 雨のにおい
この窓に 海のきらめき
この窓に 明日が入ってくる

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でも, それは何も明日に向かって拳を振り翳して突き進むような歌ではない. 
今日があって, 明日がやって来て.
人生はとても美しい.
そんなことをライヴの最後に, そっとうたったのだった.

2時間のライヴ, 幸福な時間だった.

11/15/2012

メトロポリタン美術館展


メトロポリタン美術館展 大地、海、空:4000年の美への旅
2012.10.06 - 2013.01.04 /東京都美術館

東京都美術館のリニューアルオープンを記念して開催されている「メトロポリタン美術館展」.
今回の展示のテーマは「自然とは何か」, なのだという.
紀元前のエジプトから現代の日本に至るまで, いつの時代もアーティストにとって自然は神秘的であり, アートの対象であった.
本展では, メトロポリタン美術館(1870年開館)の4000年にもわたる膨大なコレクションのなかから, そんな自然を表した作品133点が公開されている


その中には, 日本初公開となるゴッホの「糸杉」もある.
初めて観たその杉は南仏の光をたっぷり浴びて, 自分のなかにあった印象より随分素朴な感じだった.
燃え上がる杉の木に不思議な三日月を合わせて, ゴッホは何を思ったのだろうか.


ケンセットが描く夕陽と, 18世紀半ばにカナレットが描いたというヴェネツィアの街の鳥瞰図も印象的だった.
光そのものを主題にしたケンセットが描く「海上の日没」.
幾重にも重なる鮮やかで複雑な光に吸い込まれるようだった

カナレットの「ヴェネツィア:サンタ・マリア・デッラ・サルーテ聖堂」は, 近づいて観てみると, その筆の細かさに驚く.
傾きかけた陽の光を浴びて拡がりを見せる街を細かに描く術は, まさに職人によるもの.
惚れ惚れした

古代メソポタミア文明の工芸品から, 彫刻, 油彩, そして写真まで, 地域も年代もさまざまな作品を存分に鑑賞できる展示であった.

(「メトロポリタン美術館」といえば, やっぱり大貫妙子を思い出してしまいます…)